電話より
メールより
君からの気持ちは
LINEで聞きたい
軽いようで誠実で
歌うような文章
自分の1日と
私への思いやりの言葉が続く
いつも君からのLINEを
見返してしまうので
私の返事はそっけない
手を広げると
指の先だけがポッと赤い
この指先には非常に細い血管
つまりは毛細血管がある
指だけでなく体中にあるらしい
体の中では
機関車に石炭を放り込むように
エネルギーが作られ
血液をくるくる回している
私がどんなに落ち込んで
頭を抱えていたとしても
私の肉体の部位は
それぞれの場所で
最後まで頑張ろうとする
命が燃え尽きるまで
夜明け前
たくさんの人々が眠っている
起きているのは
早寝早起きの老人
パソコンを前に昨日を続ける人
そして
悩みがあり眠りが浅い人
私もまた悩みを抱え
夜明け前の散歩に行っていた
規則正しく歩くリズムと
冬の冷気で頭の靄も晴れていく
動物園のトラは
同じ場所を行ったり来たり
細い檻に閉じ込められている
その頃の私も
夜明け前の時間を行ったり来たり
子育ての合間の
ひとりになれる時間を求めて
きっかけは何にせよ
いつのまにか気になってくる
本気の恋かどうかは
まだわからないが
ずっと見てしまう
その人が基準になり
背が高いか低いか
目が大きいか小さいか
ちょうど良いのはその人と
周囲のひんしゅくを買いながらも
素晴らしさだけを
数え上げた
いろいろな事があって
昔には戻れないけれど
その時の感情は
いつも私に舞い戻る
12月さんはカレンダーの中で
ずっと待つ
お母さんの台所で
煙と匂いに囲まれて
12月さんはパリッとした
コートを着て ダンディなお方
春夏秋と皆を見守る
縁の下の力持ち
やっと12月がやって来た
コートは茶色にすすけ
ボロボロになった12月さん
顔にはたくさんの書き込み
12月は忙しい
餅つきにクリスマス 大掃除
ずっと待っていたのだから
たくさん書き込んでくれと
12月さんは思う