海で生まれ
海で育ち
海でいなくなった貝は
貝殻だけを海岸にのこす

白いお腹を見せた貝殻は
海に来た人を
淋しい気持ちにさせる
見捨てられた姿をさらして

道草は楽しい

子供の頃はお腹が空いて
いろいろ食べた
すっぱい草は皮をむいて
柿や山栗
川の側には山いちご
木を引っ張ると
ホロホロ落ちる

男子はより高く登ろうとし
より広い川を越えようとする

私も小さい川を飛び越える
何度も何度も飽きるまで

難しいことは考えず
きらめいていた日々

些細なことでも気づく人はいる

ワイドショーの番組から
ネットのニュースから
雑談する人の口の端から

30年後の普通を
今　見抜ける人がいる

皆がやっと追いついた時
ずっと積み重ねて来た人

見えないアンテナを持っているのか
ヤマネコの耳にある飾り毛のような

灯火といえば
夏の奈良公園を思い出す

だんだん夕闇がせまる中
ぽつぽつ灯りが増えていく
燈花会では
灯人サポーターが火をつける

一万個以上のろうそくの灯り
ひとつひとつに火をつける
そして　終わりの時間には
それぞれ火を消していく

灯した火をちゃんと消せば
明日は新しい火が灯る

日に何度も押す
緑色のロゴ
子鹿のように可愛い
ずいぶん前からいる様だが
まだたった10年だ

ある時　ドロンといなくなった
Safariの横に暗い空白
私がこれほど取り乱すとは
自分の気持ちを再発見

どうか　姿を現して
ピョンと元気に戻って欲しい