紫水リオ

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2/15/2023, 12:18:46 PM

お題「バレンタイン」

俺には、好きな人がいる。
そいつは、いつも明るく元気な、クラスのムードメーカー。

今日、2月14日はバレンタイン。
どうやらそいつは、友達とチョコを作ってきたらしい。
男女問わず、クラスみんなにチョコを配っている。

何故かすげぇモヤモヤする……

そして、俺の番が回ってくる。
「はい、チョコ。みんなに配ってるんだ」
「サンキュー……」
俺はこいつから貰ったチョコを、じっと見つめた。
義理チョコでも、こいつから手渡しされるのは正直嬉しかった。
けど、叶うことなら──
「お前からの本命チョコ欲しかったなぁ……」
「えっ……」
「あ……」
もしかして、俺声に出て──

「知ってたの?」
「え?」
「私が、君のこと好きってこと……」
「ん? え、は!?」
「あ、あとで改めてちゃんと言うから! に、逃げないでよ……?」

俺には、好きな人がいる。
そいつの好きな人は、俺だった。

2/14/2023, 7:20:26 AM

お題「待ってて」

予定にはなかったはずの雪が、優しく舞い降りてくる。

「あ、雪」
私は、君にだけ届く声で呟いた。

どこに着陸しようか、揺れながら悩んだ小さな結晶は、やがて私の掌に降り立った。
そういえば、あの日も雪が降っていた。

君と、初めて会った日。

何度も見てきたはずの雪に、これほど心揺さぶられるのはきっと、あの日、大好きな君が隣にいたから。
「早く会いたいな…」

私は、ほぅっと一息ついた。
白く染まった吐息は、すぐに消えてなくなった。
そしてまた、一歩踏み出す。

次は、私が会いに行く番。
君は寂しがり屋だから。早く会いに行かなくちゃ。

またすぐに、会えるから。

「待ってて」