―最近ふと昔の事を思い出す。
「ママただいまぁ!」
「おかえり。あ、俊介あんたまた靴脱ぎっぱなしじゃない!靴は脱いだら揃えなさいっていつも言ってるでしょ。靴脱ぎっぱなしにしたから夜ご飯作るの手伝ってもらうわよ!」
「えーめんどくさーい!」
「こら待ちなさい!」
「俊介!靴下は脱いだらちゃんと洗濯機に入れなさい!わかった?」
「めんどくさいからやだー!」
「俊介おもちゃは出したらしまいなさい!わかった?」
「ママがしまってくれるからいいもーん!」
昔はまだまだ子供で気づかなかったけど俺、母さんにめちゃくちゃ迷惑かけてたな。母さんが死んでから自炊とか洗濯とかの大変さを知ったよ。母さんはこんなに大変な家事をしながら俺の面倒を見てたんだな。昔の俺は何でもめんどくさいって言ってすぐ逃げてたから普通の子供よりめんどくさかっただろうなぁ。今更母さんのありがたみを実感してるよ笑。
母さんが死んだ今では玄関には俺の靴が脱ぎ捨てられてるし、部屋のどっかには脱ぎ捨てた靴下もある。さらに部屋中にはカップ麺とかスーパーの惣菜のごみが散乱してる。母さんがいたら靴を揃えてくれて、靴下はちゃんと洗濯機に入れてくれて、ごみは捨ててくれてるんだろうな。
母さんが恋しいよ。
叱られてもいいからもう一回会いたいなぁ笑。
鏡にはいつも私の醜い顔面が映っている。鏡の中に映る私はとても醜くて嫌いだ。気持ち悪い。見つめてるだけで反吐が出る。もっと可愛くなろうと決意して垢抜けを頑張るが鏡の中の私はいつ見ても何も変わらない。
当たり前だ。続かないんだもん。
垢抜けを1ヶ月間頑張れば私でも多少は可愛くなれるのだろうか。そんなことを考えるが1ヶ月後に可愛くなっている自分が想像できなくてすぐ諦めてしまう。
醜い顔面を持つ私がいくら頑張ったところで生まれ持った美貌には敵わない。でも垢抜けを頑張れば多少は生まれ持った美貌を持つ人に近づけるはずだ。
なのに私は垢抜けの努力をしない。
みんなは自分の醜い顔面が1番嫌い?
私は生まれ持った美貌には勝てないって決めつけて垢抜けを頑張れずにいつまでも醜い顔面を晒し続けている自分の事が1番嫌いだよ。