シウマイ弁当

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9/29/2024, 12:04:31 PM

チャレンジ70(静寂に包まれた部屋)
伊豆へのドライブ途中に、小さな喫茶店を見つけた。店内には、ご主人が集めた陶磁器が並んでいる。簡単な昼食を、と思って入ったのだが、あまり料理は出していないようだ。
 5月の風が木々を揺らす。柱時計の針の音が、やけに大きく聞こえる。コーヒーを沸かす、ボコボコという音。それ以外には、何もない。心地よい静寂に満たされた部屋。
その日以来、1年に1回は通うようになった。
心が落ち着く静寂と、香り高いコーヒーを味わう。満ち足りた空間である。

9/28/2024, 2:08:30 PM

チャレンジ69(別れ際に)
近所のラーメン店が、先月で店を閉じた。ねぎチャーシューが美味い店だった。夫婦で営業していたが、ご主人が入院を経験し、やむなく閉店の決断をした。右半身に麻痺が残るご主人は、毎朝の散歩を欠かさない。今朝も挨拶した。
  鍋は持てなくなりましたが、足だけは達者でいたいもんで。
別れ際に、ご主人は言った。ゆっくりと歩く後ろ姿は、力強かった。

9/27/2024, 12:04:57 PM

チャレンジ68(通り雨)
学生時代、外で友人と立ち話をしていたら、突然、すごい雨が降ってきた。慌てて校舎へと走る。傘を持っていないので、みんな肩や背中がびしょ濡れだ。10分ほどで、嘘のように雨は上がり、校舎の前には大きな水たまりができた。 
  誰か、雨男いるんじゃねえの?
この問いに答えられなかった。私が雨男だったからである。濡れた学ランの、ムワっとした臭いを感じながら、心のなかで友人に謝った。

9/26/2024, 12:39:00 PM

チャレンジ68(秋🍁)
栃木県の日光の紅葉は、関東地方のなかでは見事だと思う。いろは坂の渋滞を我慢してでも、見る価値がある。いろは坂の新ルートが開通した時は驚いた。渋滞緩和のために、新道を造ったという。新道は走りやすいが、紅葉は旧道のほうが見ごたえがある。
 私が小学生の時、いろは坂の旧道を両親とドライブした。昔の車は、よくエンストしたので、故障車が救援を待っていることもあった。いろは坂は大変な道だからな、と父が言ったのを覚えている。渋滞のなかで、父と母から、いろは歌を教えてもらった。紅葉と、いろは坂の記憶である。

9/25/2024, 8:05:08 PM

チャレンジ67(窓から見える景色)
今年は残暑が厳しく、庭の雑草が伸び放題だ。窓からの眺めが見苦しい。この数日は
急に涼しくなったので、草むしりをした。
花壇のなかに見慣れない草がある。小さなピンク色の花を咲かせているもの、麦の穂に似たもの、見ていると興味深い。雑草も命をつないでいる。だが同情すると草むしりにならない。容赦なく抜いていく。1時間の作業で、ゴミ袋いっぱいの草が取れた。窓からの眺めも、スッキリしたようだ。

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