【 ひとり、ごちる。】
私と関わる人々は、毎度疲弊をして居る訳で御座いまして、毎度命の危機に瀕しており、其れを支え自立させるのが私の役目なのだと思い始めました。
ひとり、死する瞬間を生き。
ふたり、これまた死する瞬間をば。
さんにん、病に身を犯され。
よにん、これまた病に掛かり。
ごにん、世を彷徨い。
ろくにん、現在進行形で世を徘徊。
皆死にかけて居るのです。
ギリギリを生き、
数字だけでは読み取れない生が確かに、そこには有ります。
確かに死にかけては居ない、ただ、困難な状況に立る者も居ります故、一概に命を救って来た訳では無いので御座いますが、毎度私は自立を促す側の人間役を担って参りました。
こんな私とて、毎度私の力で彼等を救う事は出来るのか、
変えてあげる事は出来るのか、
支えてあげる事は出来ているのか、と。
様々な葛藤と見事に闘わされる日々なので御座いますが、
案外そんな生も悪くは無いと思っても居るので御座います。
私の価値観が、私の言葉が。
関わって来た人の人生を変え、
少しでも好転させる事が出来て居るのなら。
其れに勝る物は何も御座いません。
ひと月程前。
やっとこさ、私は成人を迎えました。
これからも、また。
私は自立を促す小さな妖精として。
或いは誰かの人生の教祖として。
私の生が続いて行くのかと存じて居ります。
ただ、少しばかり。億劫でも有るのです。
私の様に自立を促す側の人が次々と私に促されてゆくのを見て、何だかむず痒く感じて仕舞います。私は私を救済し、己を確立させながら、真っ直ぐに己を貫いて生きて来ました。
その価値観が迷い込んで来た子達の導と成る様なので御座いますが、如何せん。私の導は私が建てなくては行けないと云うこの云い表せない理不尽さを感じ取って仕舞うのです。
ただ、他の方々に自立を促されようにも既に己を確立させ過ぎて居る身。私が納得出来る理論は、私が組み立てるしか無いので御座います。確かに、色んな価値観に触れ、自分なりに幅広く構成された理論を持って居るかと存じます。ただ、己にガツンと来る言葉を見付けた事が無く、偉人の言葉を見たとて共感し、自身は今この方と同じ目線で世を見渡して居るのかと己のレベルを測る事しか出来ません。
私の中に響く名言でさえも、私が日常的に考える物の他に特に響かず、この世を乾いた目で見るしか無いので御座います。
狂気やら愛やら。
大層大袈裟に、大層美しく儚く表現される物。
いつかは私も、と考え、そのいつかに成れた時でさえ。
私にはほんに詰まらなく感じて仕舞います。
狂気も愛も、表されるよりもうんと素朴なものなのです。
これが狂気。と客観的に気付く事は出来ましても、
あっははは!何て口が勝手に笑う事は有りましても、
それ以上でもそれ以下でも無かったので御座います。
狂ったとて、私の頭の中は恐ろしく合理的な物でして、
所詮この程度か、とばかり結論付けて仕舞って悲しく存じます。
お固く成っては成りません。
そう思いながら今日とて価値観を研磨してゆく訳では御座いますが、どうにも難しゅう御座います。人には人の考えが在り、人には人の価値観も在って、私は私、相手は相手と許容をする事が多くなって参りました。
確かに御相手から学ぶ事はゼロでは在りません。
ただ、これ以上に己を研磨して行った時、私の最終地点にあるものはきっと、平凡なものなのだと存じます。世も何も、循環するもので有りますから、最終的に辿り着きますのはきっと、皆様が既に知って居るであろう事と同じ事なのかと存じます。
そして、其れは既に私も知って居る事なのだと、そう思えば。やはり理不尽だと思う他に無いので御座います。大きな眼で世界を見れば、ほんに詰まらない物だと思って仕舞い、いけません。
【 自動販売機 】
何時もど真ん中よりも一つ右に有る、
青いミルクセーキを見て居た。
「 …冬だね。」
近くに居た誰かがそう呟いた。
日付けは変われど寝るまでは 【 七夕 】。
却説。
拝啓、星の中の君へ。
星の手向けとして贄されし貴姉。今ひとたびの星となりて中夜の彼方へと次第に落ちぬる様を眺めれば、己の詫びしき想ふ心ぞ、ゆらり揺らぐ水面にて見付けたり。さぞ名誉な事で有ろうとも、我等一同とは云ひ切れますまゐ。星合の空にてゐづこ宿らむ汝の姿、暫し胸中にて留めむ事を此処に記さむ。
「 ███村の回顧録 」
( ※ 誤りも有るかも知れませんが、暖かい目で閲覧願います。)
大人の人として、一人の人としても恥ずかしい愚行を、さも正義の剣を振り翳すかの様に人に見せ付けようと大声で発し、言葉の杭で相手を十字架に張付ける。そのなんたる無様な光景を己自身から作り出す者と、身勝手に杭付けられる者と、巻き込まれ浴びせられる者とで隔て合い、善と悪を表現するかの様に今日とて日々を創作する。正しく人間の所蔵で有ると云える事柄で在ろう物を、人は不幸な人生だと自身を個人として認識し成り立たせ、それで居て人だけでは無く、自身もを杭付けて仕舞う。何方も醜く、憐れだと見えるこれらの発生元を、人々は「世界」だと形容するのだ。
雨が一番大好きな君に、
私と見る晴れが一番になって欲しい。