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7/28/2023, 1:22:23 PM

7/28 お題「お祭り」

ワッショイ!ワッショイ!
「すごいな! 人がいっぱいだ!」
「はぐれるなよ!」
「え、何!? 何か言った!?」
ワッショイ!ワッショイ!
「はぐれるなって言ったんだよ! 手え貸せよ!」
「大丈夫だって! 迷子になったりしないって!」
「知らねえぞ!」
ワッショイ!ワッショイ!
「英夜はお祭り好き!?」
「まあな!」
「僕は!?」
ワッショイ!ワッショイ!
「……は?」
「あはは、何でもない!」
「おい、今何て言っ…」
ワッショイ!ワッショイ!

(所要時間:8分)

7/27/2023, 11:19:31 AM

7/27 お題「神様が舞い降りてきて、こう言った。」

「猫を飼いなさい」
「…はい?」
「猫を飼いなさい」

 そういったわけで、私の部屋には猫がいるのですが、いかんせん神様がくだすった猫ですから、何を食べていただけばよいのかわかりません。不得意なスマートホンを使ってあれこれと調べましたが、神様の猫などというものはどこにも書かれておらず…。
「にゃお〜ん」
「あらあら、ごめんなさいね、お腹が空いたのね。猫まんまでいいのかしらね、お口に合わなかったら申し訳ないけれど」
 冷蔵庫から出したご飯と味噌汁を少し温めまして、猫に差し上げましたところ、すぐさま食べはじめ、あっという間に食べ尽くすと、満足そうににゃあと鳴きました。それを見ていると、私も何やらお腹が空いて、同じ猫まんまをこしらえて食べました。お爺さんが亡くなって以来、2日ぶりの食事でした。
「お前さまの名前を決めてさしあげなくてはね」
 背中をなでてやると、猫はまた、満足そうににゃあと鳴きました。

(所要時間:8分)

7/26/2023, 10:56:19 AM

7/26 お題「誰かのためになるならば」

 僕はここで、土を掘っている。見渡す限り無限の荒野で、ただ一人。ショベルで掘り返し、掘り返し、位置を変えてはまた掘り返し。
 何のためにこうしているのかはわからない。ただ、この土地への上陸の条件だった。ここでただひたすら土を掘れ、と。
 意図はわからないが、きっと誰かのためになるのだろう。それだけを糧に、僕はひたすら土を掘る。

「ちょっと、また天井が崩れてきたよ」
「チッ。土が脆いってのに毎日地上で掘ってるヤツがいやがる」
「まったくどうにかならんものかね、この悪質な嫌がらせは」
「ならないだろうな。ハビ星人は我々を追い出したくて、チキュー星から人を連れて来て掘らせてるって言うじゃないか」
「あ〜あ。チキュー星人も、もっと誰かのためになるような、マシな事をやってくれんもんかねぇ…」

(所要時間:10分)

7/25/2023, 11:06:32 AM

7/25 お題「鳥かご」

「様子はどうだ」
「大人しいものです。あれがかつての千勝王とは…」
「フッ。かの英傑も寄る年波には勝てぬか。所詮は鳥かごの鳥。もうしばらくそのままにしておけ」
「はっ」

 その一室は、ものものしい警備が敷かれていた。重厚な木製の扉には鍵、見張りは兵士三名。
 突如、その扉が内側から吹き飛んだ。何事かと構えた兵士が、次々と巨大な塊になぎ倒される。
「わしを捕えておくなら、猛獣の檻が必要だぞ」
 机を肩に担ぎ上げた白髪の老人―――千勝王が豪快に笑った。

(所要時間:10分)※構想除く

7/24/2023, 10:51:56 AM

7/24 お題「友情」

 シャッシャッ、シャッ…。
 静けさの中、軽やかなペンの音がする。彼女は真剣にクロッキー帳に向き合い、時折目を上げて私を見ては、また手元に視線を戻す。
 部屋を訪ねれば彼女はいつも、私の大好きな香りのお茶で迎えてくれる。私は彼女のひいきのお店のお菓子を片手に上がり込む。
 20年前から変わらない。変わったのは、貧乏だった学生時代は精々麦茶とビスケットだったこと。
 お茶を楽しんだ後、彼女の「修行」が始まる。モデルになった私は、昔から控えめで伏し目がちだった彼女の真摯な眼差しを一身に浴びる。
 私を練習台にしたクロッキーは何千枚になっただろう。変わらない、積み重ねた、時の証。
 今も私たち二人、共にいる事を最高に楽しんでる。

 (所要時間:11分)

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