誰もがみんな羨むあの子
勉強もスポーツも出来る、背も高くてスタイルも良い美人
少しクールな性格だがとても優しくて何も欠点が見当たらない
周囲からは高嶺の花のような存在だ
そんなあの子と私は幼馴染で昔から今も変わらず仲が良い
大人っぽくて憧れられるあの子だけど、幼馴染の私だけが知ってる周囲の知らないあの子の姿
それは、
「ねぇ!次の休みに推しのグッズ買いに行くからついてきて〜!」
「いいよ」
「本当!?ありがと〜〜!!嬉しい!」
「何買うの?」
「えっとねぇ、」
クールとか言われている彼女にも こんな一面があるのよ
可愛いでしょ?
『誰もがみんな』
以前、私のことを好きだと言った教え子が居た。
もちろんその好意が恋愛の類だとは思っていないし、たとえ恋愛の類であったとしても応えてあげることは出来ない。
だから今までの関係性を崩すことなく彼を一人の教え子として見て接してきた。
それでも卒業式の日に本気で好きだと告げられ動揺してしまったが、変わらずその気持ちに応える事はしなかった。
結果それが彼と会った最後の日になった。
そしてその日以降彼を一度も忘れられなくなった。
彼の酷く悲しそうな顔が脳裏から消えることはなく、これはきっと彼にそんな顔をさせてしまった私への戒めなのだと思うようにした。
あれから数年経ち、今ごろ彼は立派な社会人になっているのだろう。
そうして素敵なパートナーと仕事を見つけ幸せになっていてくれたらいい。
そんな事を視界に入った部活中の生徒たちをぼんやりと眺めながら考えていた。
「先生」
背後から優しく掛けられた声。
どこか懐かしさを感じ、目頭がじんわりと熱くなっていく。
ゆっくりと声のした方へと振り向けば視界いっぱいに私の好きな花で作られた花束。
「先生、久しぶり」
そう言って私に花束を渡した人物の顔を見て堪えきれなくなった涙が頬を伝う。
「ど、うして……?」
「明日から教育実習でお世話になりますっていうのと、」
やっぱり諦められないからダメ元で先生を迎えに来た。
と無邪気に笑う彼の笑顔に、ずっと見たかった彼の笑顔に、
私は涙が止まらなくなって恥ずかしいけれど子供みたいに泣いてしまい、
「先生、俺やっぱり先生が好きだよ」
彼の腕と好きな花の香りが優しく私を包み込んだ。
『花束』
君の笑顔は素敵で大好きだけど、
笑いたくない時にまで無理して笑わないで
泣きたい時は遠慮しなくていいから
好きなだけ僕の胸を貸してあげるよ
『スマイル』
どこにも書けないことを一枚の便箋に綴らず思いを込めながら折っていく
そうして一機の紙飛行機へと形を変えた便箋を
遥か遠くまで、と祈りながら飛ばした
たとえこんな事してもどこにも書けないことが消えてなくなる訳ではないと分かっている
たとえこんな事してもどこにも書けないことを忘れる訳ではないとも分かっている
それでもどこにも書けないことを、書けないままにしておきたくなくて
書けない代わりに何か形にしたかった
これが正解かなんて、きっとずっと分からないと思うけれど
でも何か形にしておけばいつかきっと
書けないままにしておかなくて良かったと思える日が来るような
そんな気がするから
『どこにも書けないこと』
紙飛行機の数え方は一機で合ってるのかな……?
違ってたら修正します。
貴方が来た夜は いつも時計の針ばかり気にしている
今日こそは朝まで居られるようにと願うが、その願いが叶ったことはない
貴方は必ず帰ってしまう、たとえどんなに遅くなっても
分かってるわ、貴方の帰る場所が此処じゃない事も
此処が休まる場所にならない事も
私が、遊び相手にすらならない事も
それでも貴方が来た夜は いつも時計の針ばかり気にしている
1秒でも長く貴方と居られるように
今日こそは貴方と共に朝を迎えられるように、と……
『時計の針』
恋愛対象にすらならない寂しさを抱えている女の人。
後で投稿します。
『溢れる気持ち』