いつもこっちからじゃん、誘うの。
いつも会うところで会ったりとか、そういうの。
「いこーぜ」
なのに、そっちから?
いきなり来るんだ、こういう夜。
あんたがつらくない夜になればいい。
こっちの「とくべつ」なんて無視していつもどおりでいいよ。
2024/01/21 特別な夜
「一度だけ見ちまった」
あんたが言ったのはハハオヤがつけてた日記だという。
「二度とみねぇ」
あんたに優しかったときのことが書いてあったんじゃないかな
と、思うけど口にはしない。
うれしくはならないんだ、とか
なにも知らない自分が言っちゃダメだと思って黙ってた。
でもそれを捨てないであげたあんたは
めちゃくちゃ優しいやつだって思ったよ。
それもこっちのかってな考えだから
やっぱり言わなかった
2024/01/18 閉ざされた日記
男なんてだいたいは女より肌きたないし髪だって短くてあんまり見所ないじゃん。
なのにこのくそ寒い昼間の公園のベンチに寝っ転がって堂々と寝てるあんたの顔が、とじられたまつ毛の一本一本が日の光に金色になってさ。
くやしいって、思った。
2024/01/16 美しい
「いきたくない」
「なら誰と?」
「誰ともやだ」
「じゃあひとりで行け」
「行かない、は?」
「一緒ならあり」
サボリ、決定。
2024/01/06 君と一緒に
「初日の出みた?」
「ない。寝てた。じぶんは?」
「ねてた」
「だろーよ」
新年だからってなんとなく家族で過ごした。何も変わらなかった。日常が戻り始めて、また公園のベンチで時間を潰した。しらみ始める東の空。ひがのぼる。
「冬の日の出ってゆっくりでピンクだよな」
「語彙力なさすぎて伝わんないけど伝わる不思議」
「今年初不思議」
「これも今年初めて見たから初日の出でいいかな」
「いいんじゃない」
いつもの日常。ただの毎日。それを話せる相手がいれば、それでいい。
2024/01/03 日の出