ひと粒の雨に君を描いたり
風と風邪をかけて君を心配したり
週末のお天気を調べてそれに合う予定を立てたり
気温一つで
湿度一つで
日差し一つで
PM2.5つで
お母さんはそらもう大変なんだよ
いやいや
お天気の話、ね?
振り向かずただ走って逃げたあの日から
もう何年たったかな
少し老けたね
遠目でもわかる
あなたは気づいて躊躇してる
「約束覚えてるよね」
そう思ってる?
(覚えてるし守るよ)
足早に車に乗り込む私が
いなくなるのを見届けるあなた
背中に感じながら
車に乗った
本当はね 笑ってほしかった
元気にしてた?と尋ねてくれたら
笑い話にできたのに
本当はね 足がすくんでたら
あなたの表情見えちゃった
イヤそうな顔しなくてもさ
当然か
それでもあなたにあえてうれしかった
あの日、あなたから逃げてごめんね
あの日は振り返れなかったけど
今はルームミラーから見届けるよ
ありがとう さようなら
あなたは知らないけど、
私はあなたを思い出すたびに
謝るのよ
急にブロックしてあなたが何考えたのか
ちっともわからない
でも私はまだ好きだからさ
感謝もしてるからさ
ブロックなんかしなくたってさ
縁切るって言われたらさ
あなたのこと好きだからさ
あなたにつながるSNSは全部削除したよ?
弱い私があなたに迷惑かけないために
消したよ?
優しいあなたに
ブロックなんかさせて本当にごめんね
なんか知らないけど、謝っとくよ
ぬるい風が体を抜けていく
まとわりついていた半袖が風を孕んで告げる
夏だ!!
一斉に花は鮮やかさを身にまとい
葉は濃く色づく
匂いまで生命を含み僕を急かす
夏だ!!
坂のてっぺんから少し覗いた君の麦わら帽子
先に気づいたのは僕
先に名前を読んだのは君
半袖からまだ真っ白な腕を高く上げて手を振る君は笑う
さあ、二度は来ない今年の夏の始まりだ!!
あなたに出会えた幸せを
もう会えない不幸せに変換
あなたと過ごした時間を
消せない記憶に変換
あなたがくれた優しさを
消えない傷跡に変換
何でも話せる友達は
あなたからのキスで
好きな人に変換
両思いは
あなたからのブロックで
また片思いに変換
天国から地獄に変換