『解圧』
大好きな雨が嫌いになった
低気圧が頭を締め付けて、制服を濡らしていった
晴れた日も嫌いになった
暑さが私にのし掛かり体力を削っていった
部活が嫌いになった
部長という重圧から解放されて何故か寂しかった
勉強が嫌いになった
頭が悪い私は受験の重圧に耐えられなかった
大人が嫌いになった
私に期待してくる度涙が溢れた
自分が嫌いになった
なにも努力できない自分が情けなかった
いつしか圧ばかりの月日は流れ
世界は明るくなった
雨がまた好きになった
晴れの日が許せるようになった
サークルが気に入った
勉強が楽しくなった
大人といると面白くなった
自分を少し肯定できた
一年前よりも笑えるようになった
『空の概念』
昼と夜との境界線
夜と朝との境界線
時が経っても空の境界線は曖昧で
時の狭間に吸い込まれそうになる
空と大地との境界線
宇宙と空との境界線
どこまでいっても空の境界線は曖昧で
空という概念に吸い込まれそうになる
境界線がないのに確実に空は存在していて
いったいどこからが空なのだろうか
地面から離れたときから空なのだろうか
空という存在は曖昧さ故、概念へと成った
空は遠い昔から存在する不変の概念か?
毎日姿を変えて存在する空は一体何者なのだろうか
僕は空という存在がちょっぴり不気味に思う
『愛のかたち』
美しい山々が広がっている
四季毎に衣装替えする
大きな山々が広がっている
僕らはこの山を愛している
歪な山々が広がっている
木々を切られて裸にされた
地表剥き出しの山々が広がっている
僕らはこの山を愛していた
新しい家々が広がっている
暖かい家の光を纏っている
山の名残か坂道が広がっている
僕らはこの町を愛している
綺麗なビル達が広がっている
お洒落なネオンの光を着ている
遊びに困らない楽しい店達が広がっている
僕らはこの街を愛している
『死んだら』
死んだら天国にいくか、地獄にいくか
いい人は天国で、悪い人は地獄にいく。
みんな言ってる。
親より先に死んだ子はどんなこでも
必ず地獄にいく。
皆言ってる。
でもそれじゃああなたも貴方も貴女も
みんな、皆、地獄行だ。
だからお気楽に生きればいいんじゃない。
いい人になりたい。悪い人になりたくない。
いい人になりたくない。悪い人になりたい。
いろんなひとがいて
理想を求めて無理をして、
辛く思うくらいなら、
皆地獄にいくんだから
気楽に生きればいいんじゃない。
『小瓶』
海風香る小さな小屋で
小さな紙に綴ります
優しい言葉を一言
不安な気持ちを拭うように
あの頃の不安だった私に送ります
小さな手紙は小さな小瓶に
そっと詰めて詮をします
全てを還す母なる海
きっと過去に還してくれると信じて
あの頃の不安だった私に送ります
小さな小瓶は大きな波に飲み込まれ
姿を消してゆきます
それを見つめる私の姿
どこにも翳りはないでしょう?