愛を叫ぶ。
愛だの恋だの、オレにとってはなんだかむず痒い。
下手すれば寒気すらする。
高校生になったオレは、自分で言うのもなんだがモテる。
悪くないという自覚もあるが、だからと言って「付き合う」という自分が想像できない。
女友達は多い方だ。
そういう付き合いの方がいい。
まぁ、中学からの知り合いで、おそらくオレに惚れている奴がいるのは分かっているけど、今はそういう関係は……
と、ちらっとそいつの顔を見る。
まーた、男にチヤホヤされている自分にまんざらでも無い顔をしている。
やめとけ、やめとけ。
美人の類は入るとは思うが、かなりのじゃじゃ馬だぞ。
と心の中で思う。
その中に少しだけある、何か苛立つ気持ちがあることも自覚しているが、見て見ぬふりをする。
そいつがオレの目線に気が付いたのか、オレの顔を見て「あっかんべー」をしてきた。
ああいう顔が見られるのも特権だと思うと、心の中の苛立ちが少し引いた。
オレが愛を叫ぶ日は、まだまだ遠い。
モンシロチョウ
どこにでもいる蝶、モンシロチョウ。
私はそんなモンシロチョウと同じように、
どこにでもいる普通の女の子。
いわゆるモブAだ。
だから私は主役にはなれない。
こんな私だから、片想いの相手に対しても、
話しかけられないし、ただ遠くから見つめるだけ。
人目を引くようなアゲハ蝶にはなれないのだ。
忘れられない、いつまでも。
何かの本で『男性は付き合った女性のことを忘れない』と書かれていたけれど、それはあながち間違ってはいない。
今日、僕は結婚する。
ずっと好きだった人、ではなく、
ずっと僕のことを想っていてくれていた人と。
片想いの相手とは、いい思い出だ。
ずっと友達という間柄だった。
そんな彼女も昨年結婚した。
相手は僕の親友だ。
嫉妬は無い。
親友なら彼女を幸せに出来るだろうと思っていたし、
実際に彼女の笑顔を見れば幸せだと言える。
それでも。
忘れられない、いつまでも。
僕の心の中に燻る気持ち。
燃え上がることは無いけれど、
消えることも無いような、そんな感じだ。
今日、僕は結婚する。
一年後
初めて告白して、初めて失恋したあの日。
桜が舞い散る景色が涙に滲んで、
それでも視界は私の大好きなピンク色に染まった。
一年後の今日。
同じ桜の樹の下で、初めて告白を受けた。
あの時に告白したあの人から。
涙が溢れた。
今年も私の視界はピンク色に染まった。
初恋の日
『一目惚れ』って本当にあると思う。
私は、あるの。
もうビビビってきちゃった!
すごく優しくて素敵な人だったなぁ。
彼氏が欲しいと思っていても、
好きな人には出会わなかった。
だから恋することがどんなものなのか、
少女漫画でしか知らなかった。
でも『恋』がどんなものか分からなかったけれど、
あの日あの人と出逢ってから、知ってしまったの。
それはもう本能的に。
今日はなんて名付けようかな。
やっぱり『初恋の日』かな。