ぴゅう、と北風が吹く
冷えた風が、僕の肌から温もりを奪いとっていく
空を見上げると、冬の色を含み始めた青色が、空に広がっていた
「…衣替えしなきゃ」
道の真ん中で、1人呟いて、足早に家を目指した
始まりはいつも、君が僕の手を引いて
僕に新しい世界を見せてくれた
君が先導して、新しい道を切り拓いて
臆病な、変化を恐れていた僕を、変えてくれた
始まりは、全部君だった
僕がゲームにハマったときも、勉強をするときも、運動をするときも、旅行をするときも、付き合うのも、結婚も、始まりはいつも、君だった
…終わりも、君なんだね
忘れられない、あなたの横顔
忘れられない、あなたの背中
忘れられない、あなたの手のひら
忘れられない、あなたの温もり
声も、香りも、仕草も、写真も、服も
私にとっては、痛くて、辛くて、苦しくて、悲しいもので、
早く忘れてしまいたいのに
忘れられない、忘れてはいけないと、思ってしまう
なんでなの?はやく、私の中からいなくなってよ
「ばか…ッ」
今日は冬の入り口に立っているにもかかわらず、暖かく、柔らかな光が、ほわほわと降り注ぐ
時折肌寒く感じる風が吹くのは、もう10月だということを感じさせる
隣を歩く君の手をするりと繋ぎ、少し恥ずかしそうに僕に笑いかける
「ちょっと恥ずかしいね」
なんて、可愛いことを言って
君の柔らかな温もりが、僕の少し冷たい手を温める
心も、体も、暖かく、とても心地が良い
「大好きだよ、ずっと大切にするからね」
と、柔らかく一言、君の耳元で囁いた
そこの君。
そうだよ。これを読んでる、そこの君だよ。
君、ちょっと疲れた顔してるね。
そんな寂しそうな、疲れてる顔見せて…まったく。
ちょっと、頑張りすぎじゃないの?
え?自分の仕事をやってるだけだから、普通だって?
なぁに言ってんのさ。自分の気持ちを隠すのが上手な君が、顔に出してしまうくらいに疲れてんだろ?
そりゃあ、普通の量の仕事じゃないよな。
ただ、きっと仕事の量を減らしてもらうなんて難しだろうし…助けも、求められないよなぁ…だって、全部「大丈夫」って、言っちゃうだろうし。
はぁ…もう少し、ゆっくりする時間があれば、君も少しは休めるのになぁ…
まぁ、これを読んでる間は、気も抜けてるだろうし、肩の力も抜けてるだろ。
その休みで、少しでも休んどきな。
ま、束の間の休息、ってところだな。
頑張ることもだいじだが、ほどほどにな。
上手くやっていけよ。