透明な羽根
―良い子は天国に行くんだ。
ある日先生は言った。僕は悪い子だから、先生にこう質問した。
―それじゃあ悪い子は?
すると先生は今までの変わらない笑みで、
―悪い子は地獄に落ちちゃうの。
と先生は可笑しく笑った。
―どうして悪い子は地獄に行くの?
悪い子だって、天国に行きたいと僕は思った。
―悪いことをしたから、罪を償わなければならないからだよ。
次の日その先生は死んだ。先生はきっと良い子だから天国に行ったんだろうな。
後で知ったことだが、先生は自殺したらしい。先生が残した遺書には、
―悪いことをしてごめんなさい。騙してごめんなさい。
と書いてあったらしい。先生には天国へ行く、羽根はなかったみたいだ。
ということは僕も地獄に落ちるのだろうか。
透明な羽根は取れて、真っ逆さまに落ちるのだろうか。
先生みたいに。
灯火を囲んで
―綺麗。またキャンプしたいな。
―そうだね。この星空はとっても綺麗だよ。
―それもそうだね。でも、この火も綺麗でしょ?
―あー、そういうこと?ちょっと間違えて恥ずかしいわ。
―そう?星も綺麗だよ。ほら、オリオン座。そういや寒いね。
―うん。だからたき火してるんだよ。
―あったかい。ほら、手をかざしてみてよ。
―…綺麗だね。
―何が?
―君が。
冬支度
淡い白い吐息は冬を知らせる。
私にもう冬なのだと、説教するかのように。
前まで灼熱地獄の夏だったはずなのに、いつの間に冬になったんだろう?
私を置いて、秋を捨てて、いつの間に意地悪になったの?
そんな妄想を捨てて、私は家へ向かう。
ただいま。
時を止めて
素直に笑えないのは、私だけなのだろうか。
空気を読めないのは、私だけなのだろうか。
焦りを感じた時、時を止めてほしいのは、私だけなのだろうか。
…いや、時を止めても、私の印象は変わらないのかもしれない。
だけど。その1%の希望に賭けたいのだ。
理由?そんなの、必要ないでしょ?フフッ。
キンモクセイ
―キンモクセイの花言葉、知ってる?
―全然。
―キンモクセイの花言葉はね、初恋とか真実などがあるんだ。
―へぇ。そういや急に質問してどうしたの?
―まだ気づいてないの?
―気づいてないってどういうこと?
―だーかーらー、そういうことなの!
―それって…告白?
―フフッ。秘密だよ。