あの頃の私へ
後先考えずに調子乗ったら痛い目に遭うぞ
そう今の私は言いたい。
真夜中の一人の時間がなによりも落ち着く。
昼間、バカ騒ぎしてるから余計に。
やっぱり一人の時間はいいなぁ。
ほんとに心が休まる。
風に身を任せて何にも考えずにふらりと生きてたい
失われた時間は戻らないのに、そう分かっているのに
悔やんで悔やんで忘れられなくて、立ち止まってしまう。
そんな日々が1番辛い。
「よしっ、お母さん、私今日から家事できるだけ手伝うから!」
高校生になって、自分のことは自分でやらなければという意思が私の中では芽生えた。
もう、小さな子供じゃないんだから。
小さい頃にお父さんが亡くなって、女手一つで育ててくれていつも仕事を頑張ってくれているお母さんにいつまでも甘えてられない。
だから今日から自分のことは自分でしっかりしよう!
そしてお母さんにあんまり負担をかけないようにしないと。
だから、やる気満々で意気込んでそう言ったらお母さんは笑って
「え〜?手伝ってくれるの?
ほんとかなぁ?
3日坊主にならないことをお母さん願ってるわ」
「ならないし!」
早速、実行した。
「お母さん、私皿洗うから横になってれば?仕事で疲れたでしょ?」
「あらめずらしい。じゃあお願いしよう。」
そんなふうに皿洗い、掃除、洗濯。そして自分で起きる。
出来そうなことは全てやっていった。
すっかり大人になった気分だ。
お母さんも嬉しそうだし、続けよう。
それに今までお母さんにどれだけ甘えていたのかがなんか分かった気がするし。
それからそれから1週間が経った日、
お母さんの仕事が休みで2人で買い物に出かけた。
「あら、買わないの?アイス。
いつもはすぐカゴに入れるのに。」
……………ほしい。食べたい。
けど、これもお母さんのお金で買うことになるんだし、我慢しよう。
お母さんは「私はいい」って言って食べないんだし。
「大丈夫。お腹すいてないから。」
「そう?」
お母さんは何か言いたげな顔をしていたけど、何も言ってこなかった。
☆☆☆
「うぅ、イッタ。」
朝起きると頭が鈍器で叩かれるような痛みが走る。
体も暑い気がするし、熱があるのかな。
とても起き上がれなくてボッーとしていると
「みことー!もう朝よ?あなたがこんな時間まで寝てるのめずら………って!体調悪いの?」
スーツ姿のお母さんが起こしにきた。
「………うん。ちょっと頭痛くて。」
「じゃあまだ寝ときなさい。
学校には連絡しとくから。」
「うんありがとうお母さん」
はぁー。
今日は母の日なのに。
それからまた、意識が朦朧としてきて眠りに落ちた。
起きたのは昼過ぎだった。
「大丈夫ー?おかゆ作ったわよ、食べれそう?」
「うん…………って、お母さん仕事は!?」
スーツ着てたよね?
「休んだわよ。」
「え〜。行ってよかったのに。」
「風邪ひいてる娘を置いて、仕事になんていけないわよ。」
そう言いながらおかゆを渡してきた。
私はそれを食べながら
「ごめんね。お母さん私のせいで。」
仕事休ませてしまった。
落ち込んでそう言うとお母さんは笑って言った。
「みこと。お母さん最近、みことが色んなことしてくれてすっごく嬉しかったし、ゆっくり出来たけどね?
まだみことは子供。
こどもでいいの。今は、高校生なんだし、勉強して部活頑張って、青春を謳歌してほしいな。
無理していろんなこと手伝ったりしなくてもお母さん気持ちだけで嬉しいの。」
「お母さん………。」
「ほらっ、この前デパートに買い物行った時だってさ?ほんとはクレープ食べたかったでしょ?」
「えっ………?」
分かってたんだ。
「ふふっ。気づいてないと思ってた?バレバレよ?
まだ甘えていいの。そのためのお母さんよ?」
お茶目にイタズラっぽく笑った。
「うん、分かった。ありがとうお母さん。」
母の日なのに、私がお母さんに助けてもらった気がする。
でも…………まぁ、いっか。
たった1人のお母さん。
たくさんお金かかるし、仕事頑張らせちゃうし、迷惑かけると思うけどこれからもよろしくね。
あったかい美味しいお母さんの味がするおかゆを味わって食べた。