雫
わらって
悲しさが消えた
眠って
疲れも消えた
飲んで
なかったことにした
何かが震えている
抑えているものが溢れていく
何粒かが滴り落ちて
ようやく
私を知った
何もいらない
身軽な両手を
空にかざして
目を細めて
空中を飲み込む
散歩の一歩一歩と
歩ける健康を噛み締める
食事を味わう
落ち着いた木の色の
低いテーブルに
素朴な茶碗を並べて
炊き立ての米を口に運ぶ
あたたかなお風呂に入る
湯船に塩を溶かして
柔らかくなったお湯に浸かる
湯気が体を潤す
少し、喉が渇く
水を飲む
柔らかな服を着る
お気に入りの寝具で作った
自分だけの寝床に
いそいそと入る
微睡んでいく
寝具の質感が眠気を誘う
心がいっぱいになる
なんて幸せなんだろう
この大切な時間たちを抱きしめていきたい
毎日を、ひとつひとつを
大事に生きていく日々さえあれば
他には、もう。
夢見る心
誰を頼ればいい?
私がこれから
まっとうに生きていくために
足りないところを
埋めていきたいんだ
意見が欲しいよ、厳しくてもいい
はっきりとした声が欲しい
私の甘い考えを
真正面から潰してもいいから
誰かこの弛んだ心を
目覚めさせるように踏みつけて
蚊に刺されたくらいの
痛みしか感じないはずだから
それは本気だから
どうかこの馬鹿者を
導いてやってください
届かぬ想い
たとえ五感がなくなっても
第六感で
また会いたいです
わがままですよ、ずっと
何も知らない私と
何でも知っているあなたの
言葉も交わさないひとときが
生き甲斐でした
思い出になった物知りなあなたには
たった一つだけ知らないことがあります
それは私が
あなたの心に傾倒して
2人でよく語り合った愛とやらを
どうやらあなたに向けていたことです
気づいていましたか?
もう遅いですね
今からでも、耳に入ることを祈っています
ではまた、来世でお会いしましょう。
神様へ
図々しい私を許してくださいますか
学び続けて空回りする姿を
鼻で笑っていただいて構いません
酒の肴にもならないような人生ですが
よければ指でも差してください
あなたの言うことは絶対ですから
私は意思を潰します
口を慎み、耳をすませて
あなたの言葉を受け取ります
丁寧に、命が削れるほど慎重に。
あなたは私を離してくれません
いつだって気にかけて
どんな時も1番に声をかけてくれます
でも、今日だけは
私の声も聞いてください
私は愚か者なので
あなたの拳だけでは心がわかりません
いっそ私を捨ててください
もっと違う未来と、もっと違う過去を抱えて
また会いに行きますから。