アクリル

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12/25/2022, 10:13:37 AM

イブの夜


暖房もない、気密性のカケラもない小屋みたいな部屋で、悴む手を無理矢理動かしながらケーキを食べた。

もったりしたクリームが年末を物語っていて、結構、こんなのもいいかななんて、場に飲まれて思った。

12/24/2022, 10:58:46 AM

プレゼント


つまらないものですが。
と渡されたのは

オリジナルの絵が挟まった
ポケットティッシュでした。

12/23/2022, 7:40:03 AM

ゆずの香り


ちょっとした小物に
黄色いものが多い君は

ただ黄色が好きなだけじゃなかった。

あの日貰ったハンドクリーム
ずっと使いきれていないよ

喉がかさつく頃になると
まだ残っているのに
何故か同じものを探してしまう

これが無くなってしまったら
君がいなくなるような気がするから。

私は好きだよ。
黄色も、また手を繋げたような感覚も。

12/21/2022, 11:39:07 AM

大空


うっすらと嫌われてるのかなって
ふと不安になった。

何も答えてくれない雲に
問いかけてみた

ねぇ、私には魅力なんて無いのかな
好かれるような人間じゃないのかな

雲は何も言わないで
ただふよふよと流れて消えた

やけに安心した
その無関心さが救いだった。

そっか、ひとりになりたかっただけか。

答えをありがとうね
そろそろ首が痛いから帰るよ

じゃあまた、この丘で。

12/21/2022, 8:52:56 AM

ベルの音


いつも通りにスイッチを引っ叩いた。
塗装はもう剥がれて、縁は少し歪んでいる。

ありがとう、大事にするね。って言ったあの日から数年。
あんたはもうどこにもいない。

ごめんね、捨て方もよくわからなくて。

まだ使えるからさ、惰性で毎朝起こしてもらってるよ。


でも、結局...

あんたの声が、一番心地良かった。

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