『♪♫♪♪♬♩♬』
「なんて歌ってるんだろう?」
『♪♫♪♪♬♩♬』
「耳を塞いでおけ。川を渡り終えて見えなくなるまでは」
『♪♫♪♪♬♩♬』
「でも、」
「紡ぐ歌を理解したらお前もあの歌しか歌えない魔物になるぞ」
(君が紡ぐ歌)
歌で惑わす系の魔物の紡ぐ歌は危険です。
「助けてくれたお礼にさぁさぁこちらへ」
そう言われて着いて行ってかれこれ数時間、なぜ登山をしているのだろう?
「なあ海亀、どこまで行くんだ?というか海は?」
「もう少しで光と霧の狭間ですよ。それを抜ければ海までしばらくです」
「光と霧?」
「ここまで登ってきたのですからあともう少し頑張りましょう」
疑問は残るが頑張りましょうと促されてとにかく着いて行く。
「あぁ、抜けました抜けました。もう少し登ったら海です」
「こんな山上で海?」
「後ろを見ればもう海ですよ」
(光と霧の狭間で)
浦島太郎のオマージュ、海は海でも雲海だったようです。
「ねえ、砂時計の音って聞いた事ある?」
「砂時計?まぁすごく静かな場所で意識して聞こうとすれば聞こえると思うよ」
「どんな音なんだろ?」
「砂が擦れ落ちる音だから、サラサラとか?」
「パリーンじゃないのね」
「ん?」
「落としちゃった。」
「………」
(砂時計の音)
砂時計は丁寧に扱いましょう。
こっそりとパパの書斎から星図の本を持ち出してカバンに入れる。
ライトと水筒、ビスケットにジャムの瓶。
望遠鏡は大きくて入らないから双眼鏡でいいや。
おっとそうだ、時計も入れとかなくちゃ。
後は夜になるのを待つばかり。
こっそり抜け出して星空観測するんだ。
翌朝、我が子が居ない事と消えた星図の本で慌てる両親なのだった。
(消えた星図)
お昼前には帰ってきました。(その後相当怒られたのは言うまでもありません)
愛情を持って恋心を抑えて君達に接してきたけど、君達のこちらに対する接し方は変わらなかったね。
僕がオオカミだからかい?
もうね、愛情も恋心も無くして憎しみが増えそうなんだ。
もう、いいかい?
(愛-恋=?)
童話のオオカミの葛藤からの………。