竜宮城へ潜る間、時間がかかるという事でウミガメが話題を振ってきた。
「ウミガメが陸に上がった時に涙を流す理由を知っていますか?」
「目の乾燥を防ぐ為じゃ無いのか?」
「確かにその理由もありますけど、ほかの理由もあるんですよ」
「卵を産む時の痛みからとか?」
「やだなぁ、オスでも涙流しますよ?」
「それもそうか、うーん、分からないな」
「涙の理由、それはですね…あくびしたら出ちゃったですよ」
「あくび……あくび…あー、確かに涙出るな」
「でしょう!」
そんな話をしながら涙を流しても涙の跡さえつかないような深海へとどんどん潜って行くのでした。
(涙の跡)
浦島太郎のオマージュ、あくびしすぎて号泣してると勘違いされた民挙手。
『本日半袖を着ている方、料金半額』
そんなのぼりがはためいている建物。
ここは全ての昔話童話、童謡の世界に同じく存在している建物。
その中では半袖を着た昔話童話、童謡に出てくる者達がかき氷やビンラムネを堪能している。
しばらく涼んで休んで英気を養って元の世界へ戻っていくのだ。
(半袖)
全ての昔話童話、童謡の登場人物達もこの暑さに負けないように休憩しよう。
もしも過去へと行けるなら、あの日へ戻りたい。
あの岸壁で箱を開ける前に。
あの箱を開けてはならぬと待ったをかけるのだ。
…いや待てよ?過去の自分に会う事は出来ないのか。
タイムパラドックスが起きてしまう。
なら、先に亀を。
…ダメだ、そうすると自分が竜宮城へ行った事が覆り結局タイムパラドックスが。
どうしようもないのか………
(もしも過去へと行けるなら)
浦島太郎のオマージュ、過去の改変は行えないのです。
「今はカエルの姿であるが、ワシはここら一体を治めていた城の王であるぞ」
と、小さいアマガエルが喋っている。
「どうにかこの呪いを解いて本来の姿に戻りたいのじゃ。そういう事で、呪いを解く方法を調べてまいれ」
偉そうにふんぞり返ったアマガエルの呪いを誰が解こうと思うのか?適当に言っておいてもいい様な気がする。
「王様、呪いを解くにはTrueLoveをもてだそうです」
「なんじゃそのトルーラブとは?分かる様に説明せい!」
「トゥルーラブ、真実の愛、本物の愛でございます。真実の愛を相互に持つ事が呪いを解く方法にございます。」
こう言っとけば相互に真実の愛を持っていないから呪いが解けないという言い逃れができるだろう。
「ならばその、トルーラブとかいう真実の愛をここへ持ってまいれ」
……どこまでも偉そうなカエルだな。
(True Love)
カエルになった王様のオマージュ、真実の愛をもった口付けで戻るのが主流ですが原本だと壁に叩きつけられて戻るらしい。
「またのご利用をお待ちしております」
そう背中に声を受けつつ建物を出る。
心の中では『もう利用したくはねえよ』と悪態をついている。
そうは思いつつも、またいつかここを利用するんだろう。
【クローンオオカミ生成研究所】
そう看板を掲げた建物は童話世界のオオカミ達の生存を助ける組織です。
(またいつか)
童話世界のオオカミ達は全てクローンです、と言われても道徳的にはアウトな気がする。