「早く飛べ!」
そう言われても足がすくんでしまって動かない。
「大丈夫だから、飛べ!」
腰と足を縛っているロープの留め具がカチカチと音を鳴らす。
「深呼吸して落ち着いて目の前を見て、さぁ!!」
高さから来る恐怖に足の力が抜けかけた瞬間、身体が宙を飛んだ。
いや、飛んだのではない。落ちた。
自由落下が続きやがて見えてきた地表。
ロープが伸びきり軋んだ音を立てる。
そして勢いよく遠ざかる地表。
意識がふわふわしている。
(飛べ)
バンジージャンプ死ぬまでに1度はやってみたい民、挙手。
【本日special day】と看板が掲げられたお菓子の家、現在3棟が建てられており誰でもどの家にも入り放題というイベントなのです。
ただし、家を一口でも食べてはいけません。
食べる用のお菓子とお茶類は受付横のキッチンカーで提供されているのでそちらをご利用下さいとの事です。
その大賑わいの中、ヘンゼルとグレーテルのコスプレをした人は何人いるのでしょうか?
(special day)
ヘンゼルとグレーテルのオマージュ、裏方で本物のヘンゼルとグレーテルが働いているとは誰も気付いてなかった。
♪静かな湖畔の森の影から形容しがたい声がする〜
「・・・・・・・・」
その声はしばらく響き、揺れる木陰に溶け消えて行くのでした。
その形容しがたい声の主が何であったのかは誰も知ることはないのです。
(揺れる木陰)
童謡・静かな湖畔のオマージュ、ソレが何だったのか気にしてはイケナイ。
夜のうちは寝てはいけない。
野生生物の餌食になってしまう。
日が暮れる前から焚き火を始め、翌朝気温が上がるまで絶やしてはいけない。
寒さによって低体温症になってしまう。
寝ない為に細かい作業をしてはいけない。
集中し過ぎると周りの変化に気付けない。
暖かい昼間に寝るが寝すぎてはいけない。
真昼の夢なのか現か分かっていないと野盗に襲われても対応できない。
そうして今まで生き延びて来たんだ。
(真昼の夢)
西部開拓時代の生きて寝る為の4ヶ条。
「時計の中に隠れて、ほかの兄弟達が食われていく様をこっそり見るしか出来なかったあの頃の自分とは違う!」
「ククク、バカなヤギだな。隠れているのを知っていて腹いっぱいで見逃してやったというのに」
ヤギとオオカミは互いに間合いを取って対峙している。過去の凄惨な事件の生き残りと加害者の最初で最後の闘いになるだろう。
ルールも審判も観客もない二人だけの闘いだ。二人だけの。
(二人だけの。)
7匹の子やぎのオマージュ、数年後復讐の闘い。