白ヤギさんから手紙を送ったよと電話が来たのは昨日の事。まだ届かない…
黒ヤギさんからまだ届かないよと電話を受けたのはついさっき。郵便屋さんまだなのかな?
郵便屋さんが来たのは電話を切ったすぐ後のこと。手紙は既に腹の中。
黒ヤギさんから返事の手紙はまだ届かない…
(届かない…)
ヤギの郵便屋さんのオマージュ、電話あるなら電話で要件伝えた方がいいと思うんだ。
庭の草を抜き、枝を整え終えた木漏れ日の心地よい午後。
早速庭に机と椅子を用意して、朝早くに孫が持ってきたパンとジャム、それからワインを用意する。
あぁそうだ、以前作ったチーズも出しておこう。
近所に住むオオカミが匂いに誘われてやってきた。
ノウサギ1羽と川魚を数匹入れたカゴを咥えている。
オオカミ用の乾燥肉と魚の燻製を交代で出してやる。
庭でオオカミは礼儀良く座って乾燥肉に齧り付いた。
その光景を見ながら早い時間のワインを楽しむ。
(木漏れ日)
赤ずきんちゃんのオマージュ、おばあちゃんとオオカミの程よい関係バージョン。
行方不明船、沈没船が多発すると言われるこの海域には人魚が住んでいるらしい。
その人魚が歌う歌によって引き込まれたり連れ去られるのだ。
真相究明の為に調査チームを組み海域に踏み入れた。
よく晴れている空がいきなり霞みがかり10m先も見ることは出来なくなった。
そこに静かに聞こえ始めた歌声。
これが人魚の歌声。
確かに引き込まれてしまう歌だ。
だんだんはっきり聞こえてきたその歌に何か聞き覚えがある事に気付くには難しくなかった。
「これ、90年代に流行ったラブソングだ」
そうチームの誰かが呟いて納得がいった。
そうだ、学生時代によく聞いた歌だ。
(ラブソング)
人魚姫のオマージュ、歌で引き込むタイプの人魚達90年代の歌で盛り上がっていたようです。
朝早くに届いた一通の手紙。
誰から送られたの書かれていないが、切手につかれた消印は隣町の物だ。
レターナイフでゆっくり封を切り、手紙を開くとどこかの塔の上からの視点で描かれたであろう絵と便箋が1枚入っていた。
『この塔に助けに来て』
と書かれた手紙と絵を交互に見て、あぁそうかと納得したように頷く。
あれだ、最近流行りの詐欺の一種だなと手紙を丸めてゴミ箱に放り投げる。
見事に外れた。
(手紙を開くと)
塔の上のラプンツェルのオマージュ、手紙で助けを求めたが詐欺と間違われたようです。
精一杯のおめかしをして馬車に乗って城へ向かう。
時間が無いわ、急いで急いでと馬に激を飛ばす。
途中で城の兵や大臣の格好の人の列とすれ違った。
ガラスの靴を大事そうに運ぶ人と目が合った気がする。
さぁもっと急いで!城は目の前よと言いながら、さっきすれ違った瞳の事を思い出していた。
(すれ違う瞳)
シンデレラのオマージュ、舞踏会の日にち間違えてるし靴運びの兵に一目惚れしちゃったどこかのお嬢様。