ふふふ、これは勝ったぞ。
地上には太陽の光が届かないくらいに雲った空。
風も吹き放題、雨も降らし放題。
どれだけ太陽が頑張っても旅人へは届かない。
旅人は暴風雨から逃げて小屋に逃げ込んだようだ。
小屋の中で濡れた服を脱いでいるのが窓から見える。
服を脱がした方が勝ちというルール上、そこまでの過程はどうでもいいのだ。
北風は勝ち誇って更に曇りの空を暗くするのだった。
(雲り)
北風と太陽のオマージュ、北風が勝っちゃったバージョン
「俺は陸に、元の所に戻るぞ」
そう言って立ち上がるが、隣に座った女性は焦る様子もなく目の前で繰り広げられている踊りを見ている。
「お帰りになると言っても貴方様はこの環境に適していないのですよ。部屋を出たが最期、水圧に潰され呼吸も出来ずbyebye…バイバイ。それでもよろしければどうぞお帰りになって」
こちらを見ることも無くそう告げた女性は、ゆっくりと盃を手に取り酒なんぞを嗜んでいる。
そうだ、こちらが圧倒的に不利なのだ。
帰ろうに帰れない海の牢獄、出ることの出来ない部屋。
陸にbyebyeしてここで一生を全うするか、ここをbyebyeして人生からもbyebyeするか…どちらにせよ、精神を病んで自己からbyebye…しそうだ。
(byebye…)
浦島太郎のオマージュ、昨日の投稿でまんまと竜宮城へ連れられて来たのがこうなりました。
ぽこ…ぽこ…と呼吸の度に気泡が上へ上へと上っていく。肺に空気は残っていないはずだけどどこから出る気泡なのだろう?
ウミガメの甲羅の縁をしっかり握ってどんどん進んでいく。
熱帯の海らしく、色鮮やかな魚や珊瑚、毒を持ついかつい魚と今にも襲ってきそうなサメの群れ。
ウミガメが言うには、「ワタシの甲羅に乗っている分には安全ですから海の景色を堪能してください」だそうだ。
ウミガメの見る景色を自分も同じように見る。
(君と見た景色)
浦島太郎のオマージュ、竜宮城までの道のりのようす。
自分がどこにいるかも分からないが、とりあえずうろうろと道らしき所を歩く。
そういえば、前を歩いていたはずの兄が居ない。
どうしようどうしよう。
辺りを見回すが痕跡なんてものはない。
お腹減ったなぁ。
そうだ、カバンにパンが入っていたはず…ダメだ、道しるべの代わりにちょっとづつちぎって落としていたからもう無いんだった。
こんな事になるならちゃんと兄と手を繋いでおくべきだった。心配してるだろうなぁ。
(手を繋いで)
ヘンゼルとグレーテルのオマージュ、昨日の投稿のもう片方のようす。果たして会えるのだろうか?
ここはどこだろう?
道に迷ってから幾分経ったかも分からない。
初めのうちに迷わないようにと落としていった目印も見つからないのでは意味が無い。
辺りには家も川も何も目印になる様なものも無いせいで自分がどの方向を向いているかも分からない。
本当にどこに居るのだろう?
そういえば、一緒に居たはずの妹が居ない。
どこ?どこに…慌てて探しに戻ろうとする。
振り向いた瞬間、無理だと分かる。
自分自身どこにいるかもわかってないのだから。
(どこ?)
ヘンゼルとグレーテルのオマージュ、完全迷子の離ればなれになってしまった2人は無事に会えるのだろうか?