夜景を見に行こう!
そういきなり言い出した君に押し切られるように車の助手席に押し込められた。
外は雨だ。夜景なんて見えるわけが無い。
ラジオから流れる適当な声を聞き流しているうちにいつの間にか高速道路に乗っていた。
まさか、雨が降っていない夜景の見える場所まで行こうというのか?
まぁいいか、明日の朝までに帰ってこれれば。
(夜景)
ここはひまわり畑、あっちはチューリップ畑、むこうはラベンダー畑、そっちはたんぽぽ畑。
季節なんて関係なく写真の中の花畑は咲き誇り続ける。
(花畑)
夕暮れ時にコンビニの端で煙草に火をつけた。
風が巻いているのか煙があっちに行ったりこっちに行ったりを繰り返す。
雨に濡れる前に吸い終えないとといつもより早く吸い込む。
ゴホッゴホッ!!
多すぎた煙にむせてしまった。涙目になる。
同時に雨が降り出した。ゲリラ豪雨というやつかいきなりすごい勢いで辺りが濡れていく。
煙草も濡れて消えてしまった。まだ少ししか吸っていなかったのに。
煙草の残りの勿体なさと、むせて痛む喉を表すかのように空が泣く。
コンビニに駆け込んで10分ほどで空は泣き止んだ。雨上がりの濡れた喫煙所でもう1本吸ってから帰ろう。
(空が泣く)
「また後でLINE送るね」と言って君はサッと帰っていった。
あれから何年経ったろう?
未だにLINEは届かない。
まぁそれもそうか、LINE交換してないもんな。
(君からのLINE)
毎日同じように獲物を狩っていつもの場所へ届ける。
ただ、届け先に見つかってはいけない。
これは贖罪だ。今までの悪さをした償いだ。
だが、ついに見つかってしまった。
次の瞬間、大きな音と共に激痛が走った。
命が燃え尽きるまで償いたかった。いや、償いはここまでで尽きたのか?
誰かが近づいて来る。
「ゴン、お前だったのか」
そう聞こえた時に命は燃え尽きた
(命が燃え尽きるまで)