空に向かって
空に向かって鳴いているのは巣から落ちたひな鳥でしょうか?
親鳥が無ずすべもなく高い空を飛び回ります。
空に向かって鳴いているのはペンギンでしょうか?
凍死してしまった我が子に…知らずに餌を求めて海に旅する母親に知らせているのです。
空に向かって泣いているのは子供でしょうか?
泣いても叫んでも冷たい母親は空に帰ってしまいました。
空に向かって咲いているのは向日葵です。枯れても種が沢山落ちて、次の夏には大輪の花が咲き誇ります。
永遠の中で命は巡ります。
喜びも絶望も長い時の中で昇華するのです。青い空、奇跡の星は今この時を命の限り生きています。
春風とともに
春風とともに新しい時代の幕開けだ
やめて逃げ出したかった学校、この街、知り合い、家族…
ボロボロでもなんとかなった卒業
別れられる、さようなら
学校、友達、親、家、街…。
長い時間揺られて越えてやって来た知らない街、人、生活、仕事、学校
木々や草花、街並み、空気…
1人で生きていくんだ、此処から始まるんだ、春風に背中を押されて。
あれから幾歳月…もう春になっても緊張することはなく、穏やかに空を見上げ懐かしむ。
春風に吹かれ見渡すのは生れ育った街並み。結局帰って来たのだった。
微笑むだけ…今の心には何も浮かばない、春なのに冷たい風が通り過ぎていく。
人生ってちょっと寄り道、我を忘れて酔っ払い、雨に降られて、ひと休み、長い夢をみていたかのようなもの。
涙
握り締めた拳、めり込む爪、滲む血、誰にも気づかれない涙
悲しい出来事、一晩泣き続けてぐっしょり重い座布団…
涙達は川になり大河になり空に帰った。1人小舟に揺られ何処に流れていくのか…
何故か不思議と寒くはない。
桃色の空が広がり、温かい風に包まれている。
頑張ったね、辛抱したね…もう大丈夫だよ…と私を待っていてくれた…
ずーと見ていてくれたのね
小さな幸せ
小さな幸せって人によって様々だろう。大きくなくていい、小さな幸せってところが…誰にでも心当たりありそうで。
でも小さくても些細な幸せを感じる事が出来る事…その感受性を持ち合わせていられていることこそ幸せなのだ。
不幸を知らなくても幸せって思うのだろか?
南国の人達が陽だまりを暖かいと思う…。
北国の人達が久しぶりのお日様を暖かいと思う…。
いや違う。
どんな環境で生きていても人が人として生きていれば感じ方は十人十色
幸せを願い、求める。毎日の生活の中で小さくても些細な幸せに支えられ癒やされ、人に優しくなれる。
その優しさは人から人へ命あるものへ広がり続けて行く。
バタフライエフェクト
小さな幸せがやがて世界を包むよう願わずにいられない。
記憶
記憶が無いと言うことは、思い出が無いということだからそれは寂しい事なのでしょう。良い思い出も辛い思い出も、精一杯生きた証だものね
子供の頃の辛い事を忘れよう、忘れようと強く思って生きてきたら、良い思い出も一緒に記憶から砂がこぼれるように消えていった。
かすかに輪郭をとどめているが、あの時のあれは〜と聞かれてもほとんど覚えていない。一緒に思い出を分かち合いたいのだと分かっているが
記憶にないのだから仕方がない。
誕生日にあなたが産まれた時の天気や状況、時間、赤ちゃんの時の癖とか話せるのは母親だけの特権というか証。
でも少しづつ忘れていっているのは年のせいかな?
子供を産んだという事、愛し続けてその気持ちは変わらないという事。
その事だけは記憶からこぼれないように年老いていきたい。