bye bye
一生懸命働いた。覚えたことはメモして、何度も聞かないように。先々考えてフットワークは軽く…
でも、全て嘘っぱちだ。
いや…働く事は好きだった。喜ばれたり役にたったことは確かな手応えとしてあったのだから。
だけど思い出したくない。
誰にも会いたくない。
私の中からバイバイしてほしい。
初めは軽いノリだった。
あの日熱い眼差しで真っ直ぐな想いで私はノックアウト。
夢中になって我を忘れ全てを失った。約束したのに…バイバイした。
私から…。
今私は生きている。
今まで生きてきて得たものに沢山バイバイした。
誰も居ない、物も少ない。もう少し
あともう少し…バイバイ…私。
後悔も反省も希望も欲望も…執着だから…お願い…
bye bye…。
手を繋いで
触れるって凄いことと最近思うのです。まして、手を繋ぐなんて…
口下手なので思っていることの半分も伝えられない。でも、思いきって手に触れてみる。
少しふるえている私と温かいあなたの手。伝えたくて伝えられない不器用な私に力強く握り返したあなたの手。
もう何も言わなくてもわかっているよとあなたの手は語っていたの。
もう怖くない、寒くない。
歩いていく、あなたとずっと。
もう戻れない、何もかも捨ててきたから。手を離さないでね。
繋いだこの手だけが私の命。
叶わぬ夢
叶わない夢。
世界を周るのが夢でよく世界地図見てたっけ。なのに方向音痴で計算が苦手。ツアコンは無理とさとった。
海が好き。毎年シュノーケルしに行く。でも足がつかないと泳げない。
それに、水中メガネとは相性が悪い。
歌が好き。みんなの前で歌いたいのにかなりの音痴。
星が好き。降るような満天の星が見たい。この夢ならいつか叶える!
スターになるとか大金持ちになるとか、もう一度最初から人生をやり直す事とか、叶わないことはわかっている。
子供の頃もっと夢をみればよかった
強く強く強く。どうすれば叶うのか
具体的に考える。そして最初の一歩を歩き出す。それは叶わぬ夢ではなくなる。そんな簡単な事なぜ分からなかったのか…いや簡単ではないだろうけど、夢は見るものではなく叶えるものと言えたのに…。
花の香りと共に
お誕生日おめでとう…息子にそう言うと、何も言わず無愛想に大きな花かごを私に手渡した。
私の好きな赤いバラやピンクの花が沢山の色とりどりの花籠。
何も言わないけど、その気持ちが嬉しくて、嬉しくて…
お部屋は花の香りと共に彼の赤ちゃんの頃の写真が私を泣かせたのだった。
心のざわめき
仕事を辞めて数年が経つ。
子供も離れ数年が過ぎた。
借金はなくなった。
やるべき事はもう無い。
何だろう、この胸のざわめきは…。
何か忘れているような…
何処かに何かを置き忘れているような…
とても大切な事…
思い出さなくてはいけない、いつから何処から?…辿ればいいのか…
こんな思いを死ぬまで持ち続けていくのだろうか?
心の安らぎは訪れることなく、嵐の前のようにざわめきながら1人荒野に立ち尽くす。