『言葉に出来ない』
桜が日本人は大好きだ。
桜だけ開花予想など天気予報のニュースになるし
入学式や卒業式の頃、桜が式の雰囲気を盛り上げる。
桜は散り際が美しい。儚げで桜の花びらが舞う中、新しい出会いもまるで広告の写真のように鮮明でそこだけが浮かび上がる。
薄桃の桜の木の下ですれ違った君と僕が何か始まりそうな予感がした。
『春爛漫』
『誰よりもずっと』
俺はしがない40男だ。バツイチ子持ちだが親権は母親でやもめ暮らしで気ままに過ごしている。
まあ俺は結婚生活ってやつが向いてなかったのだろう。勿論家族への責任は果たすべく社畜となって働いてたさ。給与は全て渡してお小遣いだって月2万、それでも文句言わずに生活してたのは子どもが出来たからだ。俺の遺伝子を受け継ぐもの、母性は持ち合わせちゃないが父性だってあるはある。
俺が家族を食わせていく。こいつらを守る。それが
俺の責任であり、プライドでもある。
ところがどこを間違えたか母親がギャンブルに狂ってしまった。乳飲み子を放置してパチンコに行くようになってしまった。俺が仕事に行き営業の合間にこっそり帰宅してミルク飲ませ、借金返済のため一日1個のパンで飢えをしのぎそんな生活を6年続けたが流石に体を壊して実家の世話になって離婚した。
子どもの親権も争ったが母親のが強く負けてしまった。最初は荒れた、どうにでもなれと思った。
ところが2、3ヶ月経つと金の無心をしてくる。
月々の養育費を渡してるのにも関わらずだ。
が、しかし憎しみを感じながらもシングルマザーで子どもを育てる大変さは容易に想像がつくため
子どもの養育費として援助はするだろう。
本当に子どもに対して使うお金ならば良いがパチンコに消えてないことをいのるばかりだ。
今はまだ小学生だがこれからもずっと一緒にいられなくても父親の背中を見せて行くと決めた。
『これからもずっと』