【夜空を越えて】
「Hey Baby!」
職場の女に『Baby』と呼ばれて
オレは周りにからかわれている。
「Yes?」
オレは呼ばれて振り返る。
「ILoveYou Baby!」
まるで言いふらすようにデカい声で女は言う。
もちろんオレは笑顔で「Me too!」と言う。
…なんて
別にオレはその女の事、好きじゃないよ。
そんな女は職場でデカい声でえぐい下ネタを言う女だ。オレはもちろん 品が無くて好きじゃない。
顔も好みでは無いし。
いや、『時』と『場合』ってあるだろ?
さすがに仕事中はそういうのはダメだろ。
『公害』だぜ。
ペアになって初対面で話しかけられて
一言目が「恋人いる?」もよく分からないし。
相手は外国人だから「文化の違いか?」とも思ったが
酷すぎる。
そんな『下品な公害女とオレが交際してる』という
勝手な設定をつけられてるのも嫌だけどな。
まあ、いいぜ。
ちょうどいい『遊び相手』にはなるし、
その女はそのうちクビになるし。(なってる。)
その時まで遊んでやるさ。
あー…初元カノとデートしてぇなぁ。
1番好きな女とデートしてぇよ。
【ぬくもりの記憶】
「愛斗」
「あっ_。」
あの子からのキスは
とても心地が良かったのを覚えている。
まだ『恋』とわからなかったオレに
あの子はキスをしてくれた。
青春の青色が
春の桃色に変わった気がした。
そのうち、真っ赤な情熱の赤色になって
毒々しい紫色へと変わっていった。
あの子の唇は オレの色に染まったまま。
好きでもない女とキスをしても
オレの心は彩られなかった。
その女に『Baby』と呼ばれても
別の男に投げキッスをされても
なんとも思わなかった。
不思議。
【冷える指先】
あの後、初元カノから連絡が来た。
「1/2、会えなくなっちゃった」
「そうか…デートか?」
「ちがう。親と出かけるの。」
「親なら仕方ないな。」
またしばらく初元カノと会えなくなってしまった。
彼氏さんに先を越されてしまうのが悔しいが仕方ない。
せっかくやり切ろうと思っていたのに調子が狂う…。
昨日の昼は職場の女とキスをして、
夜は旦那とまぐわって…
今日、目が覚めてまた初元カノにLINEを送った。
「前日の夜に通話かけてもいい?」
「いいよ。」
オレの体がストレスで悲鳴をあげている。
だが仕事には行かなきゃならない。
苦手なインスタントのブラックコーヒーを飲みながら
なんとか自分を落ち着かせて仕事に向かおうとしてる。
あー…
また女とキスしちゃった。
【雪原の先へ】
もう 何もかもどうでもよくなった。
オレの体も心もズダボロだ。
大丈夫。
笑顔で過ごして心を隠して
相手に寄り添うだけだ。
いつもどうりやればいい。
いつもどうり旦那の相手をして、
男と女を言葉や体でたぶらかして
気を紛らわせれば良い。
さっきだって別の女とキスをした。
自分を勘違いさせるのは得意だ。慣れている。
『行為』という名の『自傷行為』で
性的快楽に溺れてハイになりまくれば良い。
その方が楽だ。
嘘の愛言葉、嘘の行為…
いつもどうりに…。
…心が さむいな
【白い吐息】
(※LINEでの会話からの引用。)
「無性に君を抱きたくなった。
…理由は聞くな。
年始は旦那は実家に帰る。
オレは1人だ。
君は彼氏さんとデートかな。妬いちゃうね…。
もし予定が開いてたら教えてよ。
愛に行く。
それに…あ、いいやまた連絡する。」
「年始の予定はまだ分からないよ。」
「おお…
君のこと考えてたら君から連絡来て少しびっくりした。
…バレてた?」
「1/2は?」
「会えるよ。
君と同じく、1番を消そうかと思っているよ。
想っていても辛くなるばかりだからな。
まだ決めたわけじゃないけど、
決めなきゃと思ってさ…」
「旦那を消すの?」
「旦那が1番なわけないだろ。
…いっその事、相手から本当に嫌われてやろうかなと
思ってる。」
「その方が気持ち的に楽になるんじゃないの?」
「でも次に会ったらやりきるつもりだ。
どうなるかわからないけど、
もう楽になろうかなと思う。
それでも相手がオレを求めて来るのなら
もう少し一緒にいようかと思うけど。」
「そういう曖昧なのがいけないんだよ」
「幸せにしてあげたいと思ってるけど
オレでは無理そうだし。
だからやりきる。」
犯してやる。
嫌いなキスも 怖がっている処女も全部奪ってやる。
そして放ったらかしにしてやる。
オレの青春を壊してやる。
「いつも君との行為で
つい優しさが出て たじろいちゃう。
前回のも30%ぐらいだったし…
どうしても、君を傷つけたくないっていう気持ちが
勝っちゃうみたい。
本当はもっと情熱的に求めたいんだけどな…
ねえ、
次会った時マジになってもいいか?
どうやら少し俺はまた暴走気味みたいだ…
これは、性欲とかじゃなく、別の衝動だ。
大丈夫。できるだけ優しくするから。
…そのつもり」
「お任せするわ」
「…良いんだな?
ブレーキきかなくなったらごめんよ」
これで楽になれるはず…。