【君と一緒に】
「今月中に戻ってくるから
戻ってきたらまたデートしよう
それと、オレとの再婚のこと
考えておいてね」
朝も職場も帰りも
ずっと一緒だった。
今年に入ってから
愛人は他県に移動することになり、
もう職場にも家にもいない。
いつも作ってもらっていた弁当も
自分で作らなきゃならない。
オレも今の職場を3月頃にやめるつもりだが
それまでが長い。
再び会えるその日まで
いつもしていた愛人とのキスもなくなる。
通勤の道を毎朝通る度、
愛人が住んでいた家を寂しく見つめるのだろう。
今月の8日は
オレ達 最後のデートの日だ。
別れの悲しみに背を向けて
楽しもうと思う。
オレは残酷に
男には薄情な人間なので
いつでも別れる準備は出来ている。
でももし寂しくてひっそり涙を流したら
少しでも愛人に惚れていたんだと自覚できるだろう。
「オレ、本気だから。
必ず迎えに行くね。」
そんな言葉、今まで色んな人に言われなれてたけど
今回は少し期待してみることにする。
『ダーリン』
オレ、ここで待ってるね。
【イブの夜】
オレ「…なあ 変なこと言うけど
その…オレと結婚してくれないか…?」
初元カノ「…!」
オレ「変なこと言ってごめんよ
なんでもn…」
初元カノ「いいよ」
オレ「え…?いいの?」
初元カノ「うん!」
オレはそんな夢を今日見た。
目覚めたら当たり前のように
旦那が隣で寝ていた。
夢だったのはガッカリだったが
悪い夢ではなかった。
…でももしその夢が本当だったら
オレはどう喜べばいいのだろうか。
あの夢は恐らく
オレの本心なのかもしれない。
いつかまたあの子に会ったら
優しく触れてうちなる愛を語りたい。
たとえあの子の心にオレがいなくても
また1度きりの熱い夢が出来ればそれでいい。
その時だけでも
あの子はオレを求めてくれる。
ああ 神よ
お許しください。
私は まだ
あの子に『恋』をしています。
あの子を『愛』しています。
【愛を注いで】
(※性的表現有🔞)
『いっぱい…
いっぱいあなたの愛で満たされたい…』
唇を重ねて 舌を絡めるたびに
そんな気持ちが湧き出た。
ベッドに倒され熱いキスをしながら
お互いの服を脱がしていく。
抱きしめて伝わる相手の体温が熱くなればなるほど
オレは興奮した。
『ああ…この人はオレで興奮してる
してくれてる…!』
オレは興奮した『オトコ』の表情を見るのが好きだ。
その表情を見て オレも更に興奮しだす。
オレの中で暴れる『欲望』は
『痛み』も『快楽』も心地よかった。
やがて終いには
ぬたりと熱のこもった『愛情』が注がれ
『印』が体に残された。
【手を繋いで】
「愛斗、オレと駆け落ちしよう」
その言葉はオレが密かに恐れていた言葉だった。
「嬉しいよ でも…」
オレは答えを濁らせる。
旦那への罪悪感と同時に
愛人への後悔が心に襲いかかる。
新婚ホヤホヤのオレが旦那を裏切って
愛人と駆け落ちなんて出来るわけがもちろんない。
オレは愛人を本気にさせすぎてしまった。
今日も別れ際に愛人と手を繋いで部屋の廊下を
ヴァージンロードのように歩き 玄関に向かう。
オレはその言葉の答えを
うつむき考えながら歩いた。
【また会いましょう】
オレ「また連絡するね」
親「うん また電話して」
オレ「じゃあおやすみ あたたかくしてね」
親「おやすみなさい」
オレが実家を離れて7ヶ月経った。
親はオレの『祖母』だ。
母はオレが邪魔でオレを祖母の家に
預けたままにしていた。
「早く起きなさい!」「勉強しなさい!」
「早く寝なさい!」
育児放棄の母と違い、
祖母は実の母のように面倒を見てくれた。
たまにくちうるさい時はもちろんあるが
オレの得意なこと、優れていたことには褒めてくれた。
しかし貧しい家庭のせいで
食料も少なくなり、少しでもお金を作るために
保険を自らやめるようになった。
そんなひもじい生活を送っているが
『苦しいことは』あまりなかった。
オレは毎月に3度ほど会いに行く代わりに
電話をかけている。
「風邪ひいてない?」「働きすぎてない?」
「ちゃんと食べてる?」「旦那とはどう?」
やはりこういうあたたかいところが
オレは『親』だと思う。
オレ「早くばあちゃんに会いに行って
元気な顔みたいよ」
親「ほんとかい?w
いつでもいいから旦那をそこに置き去りにして
帰ってきなさいw」
本当に最高な『親』だ