9/19/2022, 10:32:11 AM
時間が止まって欲しいと思った。
「近い将来、耳が完全に聴こえなくなると思って欲しい」
原因も分からないまま発症した、後天性の両側性感音性難聴。ふと気が付いたら、音が消えていた恐怖は、一生忘れられないと思う。
私は、思えば異常ともいえる家庭環境で育ったと思う。いわば虐待家庭と同じ意味合いの、そういう家に。
だから、原因はストレスかもしれない、とは言われている。でも、何も分からないままで、補聴器が効くかも分からなくて、ずっと試行錯誤の毎日。
音楽が好きだった。
10年以上も続けたピアノ。独学から始まって、ようやく出来るようになっていたダンス。カラオケで高得点を出せるようになってきた歌。作曲や編曲……それが、振出しに戻ってしまった。
自分の声すら聴こえなくなっていく日々。いつ音が完全に消えるだろうと、そんな思いで過ごし続けている。
今の願いは1つだけ。
「最後に、大切な人の声が聴きたい」