初めて君の名前を呼んだ日の事を、
今でも覚えている。
その時私はとても緊張していて、
心臓がバクバクしてたんだ。
この音が君に聞こえちゃうんじゃないか、って
そういう恥ずかしさもあって。
自転車を押しながら前を歩く君に、
情けない声で名前を呼んだら、
君は、振り向かずに、返事の代わりに
右手を上げてくれたよね。
横を向いて、顔を隠す仕草をした君が、
とても愛おしくて。
それから、私の名前を呼んでくれた。
今でも、覚えてる。
だって、大好きな君の名前を呼んだ日だから。
「君の名前を呼んだ日」
暗い部屋の中、ベッドに潜り込み、耳を澄ます。
しとしとと、少し雨音が聞こえる。
雨は、嫌いだ。いつも頭が痛くなる。
だけど、今日の雨は違った。
まるで、泣きたくても泣けない私の代わりに
泣いてくれてるみたい。
そんな雨音だ。
目を瞑る。私はやさしい雨音に、心を委ねた。
「やさしい雨音」
辛辣な一言や、嫌味や皮肉。
そして時には暴言、暴力。
私が受けた痛みの布で柔らかく
そっと包み込んで、
苦しんでいるあなたに届け。
本当はあなたも辛いの、知ってるよ。
だから、いっときの感情に負けないで。
私も頑張るから。
どうしても、貴方の事が好きなんです。
「そっと包み込んで」
いつか、君は言ってた。
もう一度、虹が見たいと。
僕も君に虹を見せたい。
ああ、神様、僕の代わりに、
あの子にどうか虹を見させてあげて下さい。
例え、僕があの子の代わりに、
黒一色しか見えなくなったとしても。
「君と見た虹」
私の心の中には、「キミ」が居る。
その「キミ」は、君自身と私が離れている時に、私の中へ顔を出す。
君は何してるだろうか、そう考えると、
私の中の「キミ」が動き出す。
キミと君は同じだけど、でもちょっと違う。
君は、実在する1人の人間で、
「キミ」は、私が想像している君なんだ。
「キミ」がいる時に安心する時もあるし、
「キミ」がいるから不安になったり、イライラしてしまうこともある。
「私は、どちらの貴方も好きだ。」
君に伝えるには、唐突だろう。
だから、心の中でそっと「キミ」に伝える。
そのことを「まだ知らない君」は、一体何を思うだろう。
「まだ知らない君」