貴方がくれた優しさなんて、
私は要らないわ。
どうしてかって?
好きなのよ、貴方のことが。
ずっと忘れられないの。
私が欲しいのは、
『貴方からの愛』
分かった?
だから、もう二度と私に優しくしないでよ。
『貴方の優しさ』が私にとっては
『胸を締め付ける毒薬』でしかない。
ああ、ほらまた、苦しくなる。
どうしたらいい?この痛み、どうにもできないの。
だって、貴方は今日もあの子といるから。
私に振り向かない。そう。わかってる。
でも忘れられないの。
私はどうしても、貴方の事が好きなんです。
・・・幸せにしたかった。
「やさしさなんて」沙布
初めて君の名前を呼んだ日の事を、
今でも覚えている。
その時私はとても緊張していて、
心臓がバクバクしてたんだ。
この音が君に聞こえちゃうんじゃないか、って
そういう恥ずかしさもあって。
自転車を押しながら前を歩く君に、
情けない声で名前を呼んだら、
君は、振り向かずに、返事の代わりに
右手を上げてくれたよね。
横を向いて、顔を隠す仕草をした君が、
とても愛おしくて。
それから、私の名前を呼んでくれた。
今でも、覚えてる。
だって、大好きな君の名前を呼んだ日だから。
「君の名前を呼んだ日」
暗い部屋の中、ベッドに潜り込み、耳を澄ます。
しとしとと、少し雨音が聞こえる。
雨は、嫌いだ。いつも頭が痛くなる。
だけど、今日の雨は違った。
まるで、泣きたくても泣けない私の代わりに
泣いてくれてるみたい。
そんな雨音だ。
目を瞑る。私はやさしい雨音に、心を委ねた。
「やさしい雨音」
辛辣な一言や、嫌味や皮肉。
そして時には暴言、暴力。
私が受けた痛みの布で柔らかく
そっと包み込んで、
苦しんでいるあなたに届け。
本当はあなたも辛いの、知ってるよ。
だから、いっときの感情に負けないで。
私も頑張るから。
どうしても、貴方の事が好きなんです。
「そっと包み込んで」
いつか、君は言ってた。
もう一度、虹が見たいと。
僕も君に虹を見せたい。
ああ、神様、僕の代わりに、
あの子にどうか虹を見させてあげて下さい。
例え、僕があの子の代わりに、
黒一色しか見えなくなったとしても。
「君と見た虹」