貴方は私を手放す勇気なんか無いのに
浮ついてもいいだね
知ってたの、貴方が私の顔だけが好きな事
だから、私の態度が気に食わなくて浮気したんでしょ?
知ってるよ、全部
私は手放す勇気はとっくにあるから
貴方を失っても私は変わらない
あなたの絶望する顔が、私は好き
別れるんだから、最後くらい私の好きな顔を見せて
届かない……
どうしてわかってくれないの
こんなに想いを伝えているのに
先輩は私を見てくれない
毎日話しかけるのも、結構勇気いるんですよ?
先輩はやっぱりわかってない
手紙でも、直接言っても私の想いは届かない
悲しくて苦しくて、先輩を忘れたいのに忘れられない
本当、罪な人ですね
ねぇ、早く私のところにおいでよ
もし、私の想いが届かなくたって
貴方を幸せにするって信じさせてあげるから
木漏れ日が溢れるこのカフェは
私の唯一の居場所
ここにいると、現実逃避が出来て
彼に会うことが出来る
私はここで働いている彼に一目惚れしてしまったのだ
イケメンでルックスが良いうえにこんな私にも優しくて
今日は私の名前まで呼んでくれて、薔薇をくれた
9本の薔薇を彼はくれた、次の日もその次の日も
翌日、彼は12本の薔薇をくれた、私でもわかった
勘違いだったら恥ずかしい、彼にありがとうと伝えると
彼は私を優しく抱きしめてくれた、そう木漏れ日の中で
ラブソング、久しぶりに聴いたら
昔を思い出して、今の自分に嫌気がさした
誰にも愛されない私、仕事ばかりでつまらない人生
元彼の借金の返済で仕事に追い詰められる私
生きている意味、あるのでしょうか
昔は明るかった性格も、疲れ果てた私にはもうない
だから、私をそんな目で見つめないで
やつれたすっぴんの女に、視線を向けないで
私の視線は落ちていくばかりで、若い彼をも見れない
お願い、私に勘違いをさせないで
また、記憶しておかなきゃね
彼女はそう言って紙に書き出した
そんなに忘れるものだろうか?
聞いてみても、彼女は教えてくれなかった
あの日から数日、この日記が頼りになった
彼女は記憶喪失になったのだ
彼女は一枚一枚紙をめくり思い出していった
何故彼女は記憶喪失になることを知っていたのだろう?
聞いてみても、彼女は教えてくれなかった
でも彼女は他のことを教えてくれた
僕は知らなくて知りたくなかったこと
僕も記憶喪失になっていたようだ