これをきらめきと呼んでいいのか定かではないが
たまに目の中でパアンと弾ける強い光が見える。
初めて自分の身に起こったときはまだ十代半ばの頃で
驚いて身構えたのを覚えている。
目を開けてても閉じてても起こる。
3回程その光を見てから眼科に診てもらったら
これは眼じゃなくて脳の方だと言われた。
脳神経外科では脳に異常はない、他に原因があると言われ
循環器科では血圧が高過ぎるからだろうとのことだった。
まあ医者もタダで診てくれる訳ではないし
痛くて辛すぎるとか生活に支障があるでもなし。
正解が出ないならこれ以上は無駄銭だと思い
この光を甘んじて受け入れ今に至っている。
はじめは点だった光も、どんどん横に長くなり
いつの間にか目の中真横一直線の光に成長した。
長年見てると愛着も湧くもので
お、相変わらず綺麗な光だなと少し楽しみにしてる自分がいる。
まだ機会には恵まれていないが
これが起こってる瞬間、鏡を見ていたら
少女漫画のようなキラキラおめめになってたりして。
(きらめき)
ウチの父は台所仕事は全くしないが
掃除、洗濯は積極的に行っている。
それはとてもありがたいし助かるのだが
たまに私が洗濯物を干す作業をするとダメ出しがくる。
枠のハンガーに干した洗濯物が左右傾いてると指摘があるのだ。
正直枠が傾いてようが洗濯ばさみが落ちて足りなくなってようが
乾きゃいいじゃんと思うのだが…
ピッタリ地面と平行じゃないと、どうもダメらしい。
自分で干す時もたまに何度も入れかえ入れかえ
まっすぐ平行になるまでやり直している。
また、洗濯ばさみが1つでも取れたら即座に
新しい洗濯ばさみを付け替えている。
…ま、私にとって些細以下でも
父にとっては最重要項目なのであろう。
ムッキー!は抑えて
しおしおと洗濯物を干し直している。
(些細なことでも)
なんて鬱陶しいんでしょ心の灯火。
指針になりましょう?すがったらどうです?
心を許せばどうせ私はまた闇夜にこぼれ落ちる。
落ちた闇夜にまた心の灯火らしきもの。
もういいから!もうウンザリ!
じっとしてるなら
あんたなんかいらないから。
心の灯火に背を向ける。
ほら目が慣れてきた。
ここにいる。もう知らない。
もうこれ以上わたしの心を動かすな!
(心の灯火)
私は棒人間勇者LINE子。冒険の旅に出てまーす。
私の特技は開けないこと。
ありとあらゆる扉を開けずに済むの。
この平面の体のおかげでわずかな隙間さえあれば
通り抜けてしまえるの。ホッホッホ!
牢屋なんか楽勝過ぎて物足りないわ。
これがいつでも鍵を手に入れないと先へ進めないという
残念ストレスの冒険者にとって、どれだけの有利になることか
計り知れないことこの上ないのはご承知でしょう。
というわけで、今日も楽しく冒険しちゃってまーす。
あ、宝箱。まあこれも開けなくても手を入れて
だいたい中身が何か分かっちゃうんだから…
キャーー!手、手!手を持っていかれた!!
人喰い箱だった。
(開けないLINE)
「おーい、そこの僕ー?メルシーボークー?なんちて」
「なんなんですか、あなたは」
「なんか辛そうだから、助けてあげようと思って」
「はぁー。不完全な僕は落ち込んでるんですよ」
「何で?」
「完全じゃないからです。」
「ふーん、じゃーねー」
「待て待て待て、助けてくれるんじゃなかったの?」
「そうだった。」
「もう、逃げてもいいよ。期待してないから」
「ふふ、完全は常に膨張してるんだよ、完全に到達したとしても
同時に、完全から足りない不完全になってしまうんだ。」
「え、何?完全て膨張するの?」
「知らない」
「オイ!」
「舌先三寸で完全を目指す理由が無くなれば、助かるかと思って」
「はぁ。…そうかそうか、ありがとな」
「お、僕クンは助かったのか?いい顔になったな。
よかったよかった、じゃーねー」
・・・
「まあ、僕は不完全だが落ち込むほどのことではないのかもな。
それにしても、あいつの世の中の舐めップリは完全だ」
(不完全な僕)