NoName

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3/20/2024, 7:29:08 AM

買い物帰り家に向かう途中、姉から電話がかかってきた。
なんでもないそうだが姉のなんでもないは特に長い。
通りかかった誰もいない公園のベンチに腰を落ち着ける。
いい天気だな…、姉と会話を続けながら青い空を見上げた。

突然ふわりと黒い翼が目の前に舞い降りた。
ベンチから2、3メートル。近い。
いつもいるカラスより若干小ぶり、メスかな?
美しい。艶やかな濡れ羽色に目を奪われた。
しゃべりながら自分を見つめる人間を不思議に思ったのか
カラスはこちらを向いて小首をかしげた。
(くわっ!くゎ・わ・い・い~~~~~!!)
可愛い!あざと可愛い!
吸い寄せられるように立ち上がり、一歩踏み出す。
逃げない。戸惑っているようだが逃げない。
戸惑ってる感が更にあざとい!
胸の高鳴りを抑え更に一歩…
急に無言になった私に姉が何かわめいている、知らん。
だがその目の泳いだほんの一瞬に、軽やかに半回転したカラスは
あわてて青い空へ飛び去ってしまった。
あぁ、行ってしまわれた…
いやはや、久しぶりに魂まで奪われてしまったな。フフッ。

ふいに電話がかかってきた。姉から…いけね、電話切れてた。
今のペナルティ分、更に長い通話が始まった。

(胸が高鳴る)

3/19/2024, 1:34:42 AM

私が成人した時に父が
社会には不条理なことがいくらでもあると教えてくれた。
いちいち心を動かさずに常に冷静を保つように。
あの頃の私は不条理にいちいち
目くじらを立てる人間だったようだ。

父よ、ご安心下され。
いまや心を動かすどころか、お題をみて
不条理の意味を検索してみるほど
呆けた人間になりましたよ。

(不条理)

3/18/2024, 2:12:13 AM

懐かしい小さい頃の話。
兄が家に帰ってきたので遊んでもらおうと
待っていたが、なかなか部屋から出てこない。
そっと部屋を覗きに行ったら部屋にいない。
…?そのときは不思議に思っていたが
なんか別なことに興味がいったのか、すっかり忘れていた。

何年か経って、兄から
「どうしても泣きたくなったら押し入れ貸してやるからな」
と言われた。
そうか、あの時泣いてたのか。
確かに兄の泣いてるとこは見たことなかったな。

いまや私は荷物を詰め込んだあの押し入れに
入り込めるガタイでは無く、兄もこの家を出て久しい。
なので泣きたくなっても…まあ、我慢するか。

(泣かないよ)

3/17/2024, 2:14:53 AM

昨今のスマホゲームはろくな説明がないまま
ゲームの世界に放り出されることが多い。
いきなり始まって足早に説明してくれてもさっぱりだし。
こんだけ選ぶボタンだらけでしかも、説明以外のところは
選れべないから、頭に入ってこないし。
なんか恐ろしい数字が斜め上に付いちゃってる
受け取り箱みたいなところに
スタートダッシュやらログボやらズラズラズラ…
運営からのお詫び?何したの?
運営からのプレゼント?何で?
ガチャ券とかならともかく
もらったものの使い方も分からない。
頭がパニックを起こす。未知のオンパレード、怖い…
あー、なんかこのゲームきっと私には無理そうだ、うん。
アンインストール、アンインストール…

(怖がり)

3/16/2024, 12:59:31 AM

巷には星が溢れてる。
何かに評価を付けるのに分かりやすいのだろう。
ただでさえ美味しいお食事処に、更にランク付けしたり。
個人差満載であろう何かの使い心地の感想だったり。
星の数みて行く病院決めたりお宿を決めたり。

ただ闇雲に疑り深い私としては
これどうやって決まった?誰の意見がまかり通った?
と星を見るだに勘ぐってしまうのだ。
巷には疑わしい星が溢れてる。

(星が溢れる)

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