奥の和室、母の鏡台の更に奥。
その部屋の片隅に、何かオレンジ色のような茶色のような
半透明のくすんだフィルムっぽいものが落ちている。
母の化粧品にでも付いてたのかな?
しばらくすると無くなっていたので気にも留めなかった。
それから日も置かずまた部屋の片隅でまたフィルムが落ちている。
前のより小さいのが2つ。なんだあれは。
さすがに気になって拾い上げる。
…タマネギの皮。
そういえば母は最近急に寒くなってモコモコ靴下履いてたな。
台所から連れてきてるに違いない。
ごみ箱に捨てようとしたら既に皮が何枚か入っていた。
いや、連れてこないように気を付けようよ。
中学生の頃、部活を辞めてからほぼ毎日
放課後立ち寄った文房具屋があった。
その店の真ん中にドーンと大きなハンコを売る棚があった。
透明のフタが付いていて、開けるとバカっと音がする。
くるくる回る棚は何となく眺めてるだけで楽しい。
そんなある日ふと気になった。違和感が半端ない。
上下逆さまのハンコが異常に多い。誰かのイタズラだろうか。
いつもたいした買い物もせず寄らせてもらってるお礼に
逆さまハンコを直してあげるか。
意を決し、ハンコ棚の逆さハンコを1つ1つひっくり返した。
他の客の目も気にせず、一心不乱に棚のハンコを直す。
上の方は腕が疲れる。下の方は腰がしんどい。
そしてついにハンコ棚のハンコが全て上下正しく入った。
回しても回しても違和感無し。やった!
妙な達成感がダルくなった腕を腰を癒していく。
満足して家に帰る。何だか久しぶりの気分の良さだった。
そして次の日の放課後、文房具屋に立ち寄りハンコ棚に近寄ると
「御入り用の際は店員に申し付け下さい」との貼り紙。
見ると透明フタは全面鍵が掛かっていた。
気を良くしてた自分が本気で恥ずかしい…
寝ていたら、胃液が逆流して鼻から出てきて目が覚めた。
臭くて鼻の穴がチリチリするので、たまらず鼻を洗う。
なんだろう、おでこが痛い。胃液が鼻から更に頭へ流れた?
それはないか。
むー、胃がキリキリする。水飲めば胃酸が薄まるかな。
ついでに胃薬飲もう。
眠れないほど胃が痛い。
薬が効いてくるまでしばらく横になってよう。
それで眠れたらまた、頭に戻ったりして…
幼い頃の無邪気な夢に全く手の届かなかった現実。
少し大きくなって、冷静になって抱いた
ささやかな夢すら叶えられなかった現実。
やるべきことやれなかった。
努力が足りなかった。
私がダメだった。
夢を見た過去と、それでも続いていく現実。
ならどうにもならない夢を見よう。
宝くじに大当たりして、左団扇で暮らす夢でも。
さよならは言わないで
グッバイとかアデュー。
なんか軽いな。
さよならは言わないで
ごきげんよう。
お嬢様学校か。
さよならは言わないで
お先に失礼します。お疲れ様でした。
社会人。
さよならは言わないで
したらな!
半熟英雄。
さよならは言わないで
さよオナラ~♪
さよならと言いなさいと先生に怒られるわ。