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中学生の頃、部活を辞めてからほぼ毎日
放課後立ち寄った文房具屋があった。
その店の真ん中にドーンと大きなハンコを売る棚があった。
透明のフタが付いていて、開けるとバカっと音がする。
くるくる回る棚は何となく眺めてるだけで楽しい。

そんなある日ふと気になった。違和感が半端ない。
上下逆さまのハンコが異常に多い。誰かのイタズラだろうか。
いつもたいした買い物もせず寄らせてもらってるお礼に
逆さまハンコを直してあげるか。

意を決し、ハンコ棚の逆さハンコを1つ1つひっくり返した。
他の客の目も気にせず、一心不乱に棚のハンコを直す。
上の方は腕が疲れる。下の方は腰がしんどい。
そしてついにハンコ棚のハンコが全て上下正しく入った。
回しても回しても違和感無し。やった!
妙な達成感がダルくなった腕を腰を癒していく。
満足して家に帰る。何だか久しぶりの気分の良さだった。

そして次の日の放課後、文房具屋に立ち寄りハンコ棚に近寄ると
「御入り用の際は店員に申し付け下さい」との貼り紙。
見ると透明フタは全面鍵が掛かっていた。
気を良くしてた自分が本気で恥ずかしい…

12/7/2023, 8:35:44 AM