二歳の時、迷子になった。
家から勝手に出て歩いていたところを
親切な人に警察に連れてってもらったらしい。
母が迎えに来た時はもらったお菓子を食べながら
「お母さんも来たの?」と言ったらしい。
当時を知る人に後々まで笑い話として語られていた。
不思議なことに、その場面の記憶がある。
おそらく皆の話を何度も聞かされて
後から作ってしまった記憶だと思うのだが。
待たされていた部屋の明るさ、血相を変えた母の到着。
いまだに脳裏に焼き付いているのだ。
作られた記憶がこんなに鮮やかなものだろうか?
脳ミソって面白い。
ま、こんな器用なことが出来るなら
無かったことにしてほしい記憶の方を
処理してほしいんだけどな。
OKをした後流れる
わざわざ下手くそにパズルを失敗する広告動画。
私ならもっと上手くやれるぜー、インストーーール!
なんて絶対ならんから。意味ないから。
自己と非自己。わたし以外はあなただ。
私は一人でそれ以外は複数人。
だから世の中は大概わたしとあなた方になる。
サシの時にやっとわたしとあなた。
ここに二人っきり。
何か艶っぽい言葉な気がしてきたぞ。「あなたとわたし」
いや待て、タイマンもそうか。…うん、違った。
人と会う予定があり、急ぎ目的地まで早歩き。
ポツリと脳天に何かが当たった。
以前鳩フンを被弾して以来、確認をしないと気が済まない。
おそるおそる手でさわってみる、手を見る。透明だ、ほっ。
ま、確かにもっと重たく生温かかったな。
ボタッて感じで被弾と同時に滴ってきたもんな。
こんなに柔らかく、すぐに消え入りそうな存在ではなかった。
ま、なんにせよ透明なのが有難い。
最悪予定が実行不能になるからな。
雨なら問題ない。雨でよかった、ほっ。
小さい頃に小学校の体育館で映画が観られるという
地元のイベントがよくあった。
初めて観た映画の内容は全く記憶にない。
映写機から出る光の線がキラッキラとあまりにきれいで
後ろばっかり見ていたから。
家に帰ってその話をすると兄に
お前はわざわざホコリを観に行ったのか!
と大笑いされたのを思い出す。