暗がりの中で呻く。
う~いて~、いて~よ~
脈動のバクッバクッに合わせてズキンッズキンッと
頭が痛む。
予兆のうちに薬を飲めば間に合うのだが
いきなり来たときは慌てて飲んでも、もう薬は効かない。
それでも家にいるときはまだ幸い。
音の無い暗い部屋で横になり、タオルで頭を締め付ける。
これが痛みを多少なり緩和させる唯一の方法である。
頭を取りたい…
出来るわけないけど、それだけが頭をよぎる。
う~いた~、いたいよ~
暗がりの中で、痛みが治まるまで呻く。
ウチは母が紅茶を楽しむのが好きなようだ。
茶葉が何種類か普通に置いてある。
ティーポットの保温袋なるものを自前で作っていて驚く。
自分の中にあの血が流れてるか疑問だ。
そういえば、名状し難いあの器具。
ガラスで出来た円筒形を立てた物体。
中に金属で出来た、ところてんの突き棒みたいなのが入っている。
それに茶葉とお湯を入れてブンガブンガやるあの器具。
茶葉が中で高速で暴れまくって面白い。
あれを使うとなんかスゴく濃い紅茶が出来てたな。
ブンガブンガやり過ぎると、そーっと下ろせと怒られるけどね。
まあ私が飲む紅茶はどうやって淹れても
最終的に牛乳と砂糖を大量投入するので
香りとか以前の代物になるな。
愛言葉…何それ。誤字?違う?
合言葉を愛っぽく作るとか。
ヤマ→カワ
ではなく
愛ヤマたれい→恋しカワ療養所
みたいな?
それはないか。
花言葉みたいなものかな。
初恋の愛言葉は愛。
嫉妬の愛言葉も愛。
横恋慕の愛言葉も愛。
花の種類の数ほど愛の種類ないし、そもそも意味は愛だし。
もう、愛の言葉でいいんじゃないかな。
「の」の入れ忘れってことにしない?
友達はいない。
最近いないではなく、ずっといない。
そういえば、学生の頃はほぼ寄り合いにお邪魔したな。
新学期が始まり、あらかた友達やら仲良しグループが出来てくると
それにあぶれた者同士で何となく集まる寄り合い。
普段は全く交流もないが、学業には往々にしてある
グループで何かをするイベントが発生したときだけ結託するのだ。
今思うと、あの寄り合いはとても有難いものだったな。
友達でなくとも、いざとなるとお互いを思い歩調をあわせる点は
とてもいい関係だったと思う。
誰一人、名前も思い出せないけどね。
最終電車が遅れて到着した。
ホームから最終バスがまだ停まってるのが見える。
階段をかけ上がり、駅の改札を走り抜ける。
深夜バスの時点で倍額だが深夜タクシーはまあキツい。
「行かないで!」と心で叫ぶ。
まだいる、よし!やった、勝った。
急いで満員のバスに飛び乗った。
あれ、動かない?エンジンが止まってる?
同じ電車に乗っていたであろう乗客が
次々と乗り込んできて、超過密芋洗い状態に。苦しい…
しばらくしてエンジンがかかり、車内アナウンスが入る。
「電車遅れておりましたので10分遅れでの発車になります」
あ、そういうシステム?
あいにく、この年まで最終バスに乗ったことなかったもので。
ようやく息はおさまったが芋洗い車内の中で
尋常ならざる汗が流れ続けた。