純情人間

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7/11/2025, 12:31:13 PM

午後二時をまわると、血糖値が下がってくるのか

夢の世界に行くものがちらほらと。

教室の隅っこからはその様子がよく伺える。

ちょうど対角に座っている友人が

こっくりとしているのをボーっと眺めていると、

突然自分の名前を呼ぶ声がした。

しまった、寝てた。

伏していたノートに小さな水たまりが出来ていた。

7/10/2025, 10:53:19 AM

ドアの鍵穴に鍵を刺すと同時に、 

マンションの共用廊下の照明が灯った。

この時期は、夜の七時頃に灯るようになっている。

ドアノブに掛けた手がオレンジに包まれる。

帰ってきたのに、これから出掛けるような気がした。

7/8/2025, 10:25:33 AM

高校入学後、最初にカラオケへ行った友人と

二年ぶりにカラオケへ行った。

友人は相変わらずの選曲だ。変わらない。

それに対し、自分の好みはこの二年で

がらりと変わっていた。

残り十分で退出の通知が来た。

あの頃歌ってた曲、歌ってみるか。

いつかこんな日が来ると心の中で思っていた景色が、

今ここにある。

イントロが流れ出す、あの日の景色を二人思い出す。

7/7/2025, 12:27:43 PM

風呂を済ました後、髪を乾かし歯を磨き、

いつも通りベッドに横たわる。電気を消した後、

目覚ましを設定し忘れていることに気付き、

せっかく毛布であったまり始めた身体を

冷房ですっかりガン冷えの空間に投げ出す。

今日はこれにしよう。

目覚ましをセットするついでに、棚に置いてある

好きなアーティストのカップリング曲集を手に取る。

“願い事”そんな可愛らしい響きの言葉が浮かんだ。

僕にはまだ分からない。結局一曲目を聴き終える前に

そのまま眠ってしまった。

7/4/2025, 12:08:22 PM

今日の帰り道は視界がやけにボヤけるような。

塾の帰り道、とっくに10時をまわった国道は

静寂に包まれている。

ペダルを一漕ぎ、それでも景色は変わらない。

とくにライトのまわりがやけにボヤける。

火事でもあったのかと疑うほどボヤけていた。

構わず徐々に加速していくと、

ゴーっと耳を撫でられたような気がした。

風である。

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