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5/21/2024, 6:54:30 PM

透明


ガラス瓶にぜんぶ仕舞いなさい。

抱えきれないその感情すべてを入れ、フタを閉じて海に流してしまいなさい。

そうして時間が経てば経つほど透明になっていくのだから。

11/28/2023, 10:38:51 AM

終わらせないで


30°を超える夏も、1°まで落ちる冬も授業に集中出来やしない。
集団行動の息苦しさが嫌になることもある。

でも、朝登校して当たり前に受け取れる「おはよう」も、夕方に言い合う「また明日」も大人になった今、あまりにもかけがえがなかった。

無邪気に笑い合える正方形の部屋は人生の中でたった12年しかなかった。

どうか青春、まだ終わらないで。

11/24/2023, 4:11:15 PM

セーター


お気に入りって何回も使っちゃうよね、だからダマがすぐ出来ちゃう。
使い古されるまで使っちゃうんだよね、だって着心地もデザインも好きなんだもん。

11/24/2023, 1:33:11 AM

落ちていく


幼い頃は父が朝早くからいれるコーヒーの香りだけは好きだった。
味は苦くて、色は黒くて苦手だった。
あんなもの飲める大人はすごいな、なんて思っていた。

ぽたぽたコーヒーがカップに落ちていく。
あの黒くて苦いものを飲めるようになったら私はきっと大人の仲間入りができたという事かもしれない。

そうやって想像してるとコンっと目の前にコップを置かれた。
父がホットココアを入れてくれたのだ。
「まだココアだよね。」って笑いながら言った。
うん、そうだね、まだわたしはココアかもしれない。
父にお礼を言いながらコーヒーの香りだけ堪能して、ココアを飲んだ。

11/22/2023, 2:40:56 PM

夫婦


国を捨て異国の地が故郷になり、結婚して4人の子宝に恵まれ、孫は6人生まれた。

祖父はふっくら頬が丸くて、眉毛は末広がりの八。
いつもにこにこ笑うから目元の笑い皺はくっきりと濃い。
人が良いから親戚やご近所さん、車の修理屋さんまで仲良くなっちゃって、家はいつも人と笑い声で溢れている。

そんな祖父が大好きで大好きでつい嫉妬から人に当たっちゃうのが祖母。

60年余り連れ添ったふたり。
半世紀をこえても2人で歩いてきた。
長い長いその人生を。

人間は期限がある。だからその日はくる。
祖父の方が10も上だから先に逝ってしまった。

祖母は耐えられないと誰もが思っていた。
そんな祖母はただ静かに言った

「お父さんは釣りが大好きだったからね、きっと私はうるさいから先に行ったのね。少しだけ釣りを満喫させてあげましょう。」

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