夫婦
国を捨て異国の地が故郷になり、結婚して4人の子宝に恵まれ、孫は6人生まれた。
祖父はふっくら頬が丸くて、眉毛は末広がりの八。
いつもにこにこ笑うから目元の笑い皺はくっきりと濃い。
人が良いから親戚やご近所さん、車の修理屋さんまで仲良くなっちゃって、家はいつも人と笑い声で溢れている。
そんな祖父が大好きで大好きでつい嫉妬から人に当たっちゃうのが祖母。
60年余り連れ添ったふたり。
半世紀をこえても2人で歩いてきた。
長い長いその人生を。
人間は期限がある。だからその日はくる。
祖父の方が10も上だから先に逝ってしまった。
祖母は耐えられないと誰もが思っていた。
そんな祖母はただ静かに言った
「お父さんは釣りが大好きだったからね、きっと私はうるさいから先に行ったのね。少しだけ釣りを満喫させてあげましょう。」
どうすればいいの?
ねえねえ、ここどうすれば解けるの?
ねえねえ、これどうやれば上手くいくの?
ねえねえ、ここどうすれば綺麗になると思う?
ねえねえ、この文章ってどう読むの?
いつもどんな疑問を投げても答えてくれる世界一のお兄ちゃん。
わたしだって成長したのに、今でも兄の背中は大きくて、でも優しい空気はそのまま。
だからまた今日も分からない事を聞いちゃうんだ。
宝物
総重量4.5キロの黒と白と茶色の三色のちっちゃな犬
ちょっと嫉妬深くて怖がりな、でも愛情深かった可愛い可愛いわたしのぴんご
キャンドル
むわっと薄い白が空気に滲んで消える代わりに
ふわっと空に旅に出たわたしのわんこが記憶から現れる。
きっと神様の周りをくるくる走って
神様も天使たちも空にたどり着いたたくさんの人も君を見て微笑んでるんだろうね。
たくさんの想い出
華やかに香る真っ赤なバラの花
透きとおった芳しい日本酒
甘い甘い幸福が詰まったチョコレートケーキ
旅路を素敵にする登山靴
ひとつひとつ想いを込めては包んで渡す。
ひとりひとりに笑って欲しくて。
私の勝手な想い。
お礼は喜んでくれたその笑顔。
素敵だね。