メスシリンダー

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5/30/2025, 3:32:07 PM



私は数学が嫌いだった。

小学生の頃、私はクラスで一番算数ができなかった。そして、授業にもついていけなかった。

算数のワークの宿題はほぼ毎日出ていた。

内容はその日に習った内容の問題である。

もちろん、私は解くことができなかった。その時は答えを貰っていないため、解答や解き方も知ることができなかった。

いくら考えても分からないため私はそのページを白紙のまま提出した。

そのような日が何度か続いた。

ある日、朝教室に行くと、私の席の周りに人が沢山集まっていた。

何事かと思いながら自分の机の上を見ると、提出した算数のワークが置いてあり、その上に「勉強しろ」と汚く、大きな字で書かれた紙があった。

その紙を書いたのは私の担任の先生だった。

私は勉強していたが、本当に理解をする事ができなかった。

でも、親に算数が分からないということを伝えたくなかった。もちろん、算数のテストの結果などもすべて。  

伝えたら、親に何を言われたり、されるか分からなかった。毎日テストの結果をみて「お前は努力が足らない」「なんでこんな簡単な問題も解けないの?」と言われたり、時には私に向かって物を投げつけたり、髪を強く引っ張られたりされたからだ。

担任の先生からは、わからなかったら「周りの友達に聞け」と言われた。

でも、クラスメイトほぼ全員私のことを嫌っていた。話しかけても皆私のことを無視する。

理由はもちろん分からない。

一部の人は「あいつ、バカだから何してもいいよね?」みたいな事を言っていた。本当にそのような理由でしかなかったのだと思う。

毎日のように暴言を言われた。「バカ」「ブス」「死ね」「切腹しろ」など。それを見ている人達も笑っている。先生も言われて当然みたいな顔をする。

先生も私のことを無視したり、バカにしたりしてきた。算数の授業になれば「お前がこの問題解けるわけないよな」と言ってきたりした。

そう先生が言うと、周りの人たちはは笑っていた。
「確かに、あいつなんかができるわけない」などと。

ある日には、朝教室に入ると私の算数のテストが黒板に張り出されたりされたこともある。
そして、黒板に私の名前が大きく書いてあり、勉強しろなどと書いてあった。

それを書いているのも先生だった。

私は学校に行くのがすごく怖かった。
だけど、逃げたくもなかった。
逃げたら本当に負けだと思ったからだ。

そして、私は決心した。

いつか、この人たちに何も言われないぐらいの数学の力を身に着けて、見返してやろう。と。

私は中学で数学をすごく頑張った。もちろん、何度も挫折しかけた。テストの点数も毎回40点ぐらいしか取れなかった。

しかし、諦めることは絶対にしたくなかった。

数学を勉強し続けた結果、私はいつの間にか数学が少しずつ得意になってきた。

誰にも教えて貰わなくても、答えを見るだけで解法が分かるぐらいの力をつけられるようになった。

そして、数学が好きだと思えるようになってきていた。

中学二年生の頃、数学の先生がとても優しい先生だった。

しかし、先生は私が卒業する前に離任してしまった。

私は最後に、先生からメッセージをもらった。

そこには、「できることはまだ沢山あるはず。
夢に向かって頑張れ」と書かれていた。

私はとても嬉しかった。
きっとこの言葉を忘れないだろう。
もっと数学を勉強したいと思えた。

中学3年生のとき、とある高校に授業を見学に行った。

そして、数学の授業をしているクラスを見つけ、廊下から親と一緒に眺めた。その授業をしている先生は、声が大きく、遠くにいても聞こえるぐらいだった。

実際見に行くと、黒板に書いてあった内容も覚えている。他の先生の数学の授業も見ていたが、何故かこの先生がその日見学した中で一番印象に残った。

そして、感覚的にここの高校に行くべきだと感じた。

高校に入学した。

高校で理系コースを選択し、数学の授業が始まる。
数学の先生は男性で、飄々としている人だった。あまり笑ったりする人ではなかった。だけど、時々見せる優しさに私は惚れてしまった。

そう。この先生は見学の時に一番印象に残った数学の先生だった。

このような縁の繋がりがあるのかと、私自身信じられなかった。

先生と話してみたい気持ちもあったが、私は先生に話しかけることが苦手だった。

前文で話したように小学校の頃の出来事がフラッシュバックしてしまい、怖くて話かけられなかった。

また無視されるのではないかなどの不安に襲われてしまう。

先生はとても女子生徒に人気があり、よくその人達が先生に話しかけているのを目にする。

私も話してみたいのに、話しかけられないのが辛い。

その人たちが先生と楽しそうに話しているのを見るのも辛く感じる。

先生から話かけられることも少々あった。

いつも飄々としているけど、私に話しかける時は何故かいつも笑顔で、とても優しい。

そして、「数学分からない所はない?大丈夫?」と言ってくれた。

今まで、このような心配かけてくれる人がいなかったので、私は泣きそうになった。

流石に先生の前では泣けなかったので涙を耐えながら、分からない所を伝えた。

すると、先生が「こっちにおいで、教えてあげるよ」と言った。

ここまで丁寧に関わってくれる先生が初めてだったので、嬉しくてたまらなかった。

私は先生のおかげで、数学を今まで以上に頑張ろうと思えた。

朝、放課後、夜遅くまで数学を勉強し続けた。

そして、定期テストが近づく。

またテストが解けなかったらどうしようという不安がありながらも、少しでも高得点を取れるように努力し続けた。

いよいよテストが始まる。

学校中に鳴り響くチャイムと共に、問題用紙を開く。

今までになかったかのような感覚で、問題を次々と解き進める。

結果、分からなかった問題が1問もなかったので、初めて数学のテストに自信を持つことができた。

テストが返却される。

その結果は、91点。

初めて自分の努力が報われた気がした。

これも、今までの過去を踏み台にしてのし上がれたのもあるし、先生が優しく教えてくれたり、気にかけてくれたおかげでもあると思った。

このテストだけでなく、数学の模試でも校内で1位を取ることができた。

これをきっかけに、自分に自信を持つことができ、
大きな成長を感じられた。

月日がたち、私は高校二年生になった。

気になるクラス替えと担任の先生。

ドキドキしながら学校へ向かう。

クラスは理系を選択した人達のみで1クラスにまとまっており、あと文系を選択した人は他5クラスでまとまっている形式だった。

担任の先生は、まさかの私が好きな数学の先生だった。

ここまで縁があるのかとただの偶然の出会いではなかったのだと再認識させられた。

高2になり、初めて日直日誌を取りに行く。

すると、先生が私に日誌を渡した後に
「僕、あなたのこと信用してるから」と急に笑顔で言ってくれた。

先生は普段、他の生徒に対してそういう事を言ったりしない人なので、尚更驚いた。

言うとしても、笑顔で煽り口調で言うことがあるぐだ。

例えば、とあるホームルーム中にて、教卓の前に座っている男子生徒に対して

先生「そんな携帯の画面ニコニコしながら眺めてどうしたの?なんかやましいものでも見てるの?」

生徒「いや、そんなわけないじゃないですか(笑)」

先生「本当に携帯が大好きだね。そんなに手放せないなら水没させてみたらどう?(笑)」

生徒「そんな駄目ですよ。僕の大事な携帯が」

先生「いや、だって携帯があればいいんでしょ?なら携帯はその後に返してあげるから(笑)」

生徒「いや携帯があっても使えなきゃ意味がないですよ(笑)」

先生「そっかぁ残念だ」


また、とある授業中にて、いつも「分からないです!」という男子生徒に対しては

先生「〇〇君大丈夫?理解できた?」

生徒「大丈夫っす」

先生「本当に大丈夫?(笑)」

生徒「大丈夫って言ってるじゃないですか(笑)」

先生「いや、だっていつもわかんない、わかんないばっか言ってて、わかんない星人じゃないですか(笑)」



このように意味不明なやり取りを色々な人にやっている少し変わった先生である。

それでも、時にはとても気を使ってくれる先生なので、私自身初めて安心できる人だなと感じられた。

私は、これからも数学を極めていきたいと思うし、愛して、そしてさらに、見返していきたいと思う。

なので、私は難関理系大学を目指し、数学科に行くことを決意した。

今現在、第一志望の大学に合格できるように努力し続けている。

どんなに挫折しそうな時でも、もう絶対に諦めたりなんかしない。

私はひたすらに前だけを向いて受験に立ち向かう。

本当に、今までに出会った素敵な先生方達のでおかげでここまで成長することができました。

そして、私をいじめてきた人達も、きっとあなた達がいなかったら、ずっと逃げてばかり、すぐに諦めてしまうような人生が ずっと続いていたと思う。

だから、今逆に思っていることを言うと、
私をいじめてくれてありがとう。

これを読んでくださった方々も本当にありがとうございます。

これをきっかけに、少しでも前向きに考えられるような人生を送れるようになったなどと感じてくださったならとても嬉しいです。