私は通勤中で、向こう側の道へ渡るために
横断歩道で信号が青になるのを待っていた
街路樹が並ぶ、静かな空気を感じ
暖かい陽の光を浴びながら
一瞬のことだった
上から落ちてきたのは
セーラー服を着た女の子
驚いたのと同時に
「何処から…?」の疑問と
目の前で砕け散ったいのちを見つめ
ぐじゃぐじゃになった気持ちを
胃の内容物と一緒に吐き出した
ここの周りには飛び降りられるような
高い建物なんてどこにもないのに
─────── 落下 2024-06-19(いつか見た夢)
赤のストライプのトートバッグを
頭の上に持ち上げて
キャーキャー騒ぐわりには
急ごうとはしない
持ち物は
全部教室に置いてきたから
全然重くないの
さっきまであんなに晴れていたのに
もう靴までげしょげしょになった
シャツの下に着ている服が透ける
濡れたメガネ越しに見えた
笑って細くなった君の目
─────── あいまいな空 2024-06-14
やりたいことが多すぎて
何から手をつけたらいいのか
わからなくなって
結局何もしなかったり
今日は、明日は、明後日は
今週は、なんて予定を立ててみても
物事が予定通りに進むことはなくて
─────── やりたいこと 2024-06-11
7歳の娘は「最悪」という言葉を時々使う
なんとまあやっと人の子になれたような歳で
「最も悪い」状態が分かるのか
と、思うこともあるが
彼女なりの意思表示なのだろう
かく言うわたしもしばしば使う
戸棚に頭をぶつけた時や
こどもたちが玩具を出しっぱなしにして
散らかり放題の部屋を見た時なんか、特に
字面だけ見てみれば
もうどうしようもない状態のように
思えてくるのだけれど
どこかしら余裕があるから
出てくる言葉のようにも思う
言葉って、不思議だ
─────── 最悪 2024-06-07
当たり前だと思っていた日々を
失ってから「尊い日々」だったと気づく
後悔は先に立たないし、学ばない
それでも追い続けたから
失った恋は愛に変わったんだね
あの頃は若かったよね
きっとちゃんと、学んだよ
いつまでも笑いあえる2人で居たい
─────── 失恋 2024-06-04