朝の何気ない星座占い
君のおうし座は1位で
僕のおひつじ座は最下位
別に気にもとめないよ…
もう恋人でもないんだし。
素敵な出会いが訪れる君と
今日は空回りばかりする1日の僕。
左耳にはラッキーアイテム
いつか君がくれたピアスと
君のラッキーアイテムとは
真逆の色したハンカチ
星座占いなんてあてにしてないから…。
- sign -
遠くに見える青とオレンジのグラデーション
まるで 溶け合う前の
カシスオレンジみたいな空。
幸せと切なさを綺麗に分離していく…
君と過ごす時間は
どうして こんなにも足早に過ぎてくのだろう…
片耳ずつのイヤホンからは
甘いラブソングが流れて
君がギュッと繋いだ手を
ギュッと握り返す。
僕はどうしようもなく
君が好きみたいだ…。
遠くの空にたそがれながら
繋いだ手を ギュッ ギュッって握ってみる
君も ギュッ ギュッって優しく握り返す…。
- すき -
「明日会える?」
君からしたら ただの誘い
だけどその一言だけで
僕の何気ない1日をいとも簡単に
綺麗な景色へ変えていく…
無邪気に笑って
小さなことで落ち込んで
ありがとう って
君の無邪気な笑顔が
また僕を嘘つきにさせる。
きっと明日も
僕にとっての君は
1番近くて とっても遠い人…
眠れない長い夜に
既読のつかないメッセージを読み返す。
- Your Friend -
別に駅から近いわけでも
便利でも住みやすいわけでもなかった
築18年の古びた2LDK。
君に言われるがままに
一緒に暮らし始めた この部屋
1年が過ぎて 2年が過ぎて
3度目の秋風が君を連れ去ってく。
カーテンを揺らす風が
金木犀の匂いを運んできて
真っ暗な部屋を携帯の液晶が青白く照らす。
あの頃の2人を映画みたいに映しては
またひとつ…消していくみたいに…。
このエンドロール終わる頃
僕はまた君のことを想うのだろう…
静寂に包まれたこの部屋を
月灯が優しく照らす。
- 秋風のエンドロール -
毎朝、ホームへの階段を降りきる瞬間…
電車に乗り込む
名前の知らない可愛いアノ子
4人掛けベンチの左端から
扉越しにお見送り。
今朝は足早に駆け降りる
気まぐれな雨で遅れた約180秒…
モノクロの景色に小さな溜め息ひとつ。
いつもの左端には
茶色ショートブーツの誰からしい…
今日はベンチの右の端
雨音が消えて一瞬視線が奪われる。
ありがとう…
不意に小さく呟いた。
- shower -