【快晴】
雲一つない空。それが一般的には、「快晴」とされる。
雲一つない空というのは、私にとって気分が良い。
どこまでも広い空の青さを遮るモノがないからだ。
ただ……最近は、雲が一つでもある空も良いなぁ~~と感じるようになった。雲の白さのおかげで、空の青さがよく映えているように感じるから。
【遠くの空へ】
拝啓,私の頭上に広がっている空へ。
そう問いかけたくなるほどに、私は毎日、空との距離を感じている。空は、いつだって皆の頭上にある。
でも、手でつかみ取れるわけではない。せいぜい窓から眺めて、空の青さに黄昏れるくらいしかできない。
だから、私は空の色味や雰囲気を目に焼きつけようと、たまに両手で四角を作る。まるで写真フレームのような隙間から、どこまでも広がる空の一部を切り取る。
そして、眺める。ただ、ただ……。
今、急に空が灰色の雲におおわれて雨が降りだすなら、私は、ほんの少し空の青さを自分のモノにできたのだと喜ぶに違いない。
【言葉にできない】
世の中には、たくさんの事柄を表す言葉がある。
けれど、時々どうしようもなくなるほど言葉にできない事柄もある。
言葉にできない想い。
言葉にできない感情。
言葉にできない関係。
そうやって、言葉にできない事を「言葉にできない」と言葉にすることも、きっと大切なのだろう。
【春爛漫】
今年も春がやって来たことは知っている。
でも、春が来たんだ、という実感はあまりない。
一体なぜだろうか。
春が来ることを当たり前だと思っているから?
春だとか、夏だとか、秋や冬だとか、季節の流れなんて正直どうでもいいと感じている節があるから?
そんなことを考えながら、帰路へとついていた。
視線を正面に向けたまま、自転車をこぐ。
心地よい風を感じて、ふと地面の方に目をやった。
たくさんの散り散りになった、ピンク色の落ち葉。
思わず顔を上げた瞬間、初めて私は、“春”が来たことを実感できたような気がした。
【誰よりも、ずっと】
私たちには、誰よりも、よく見えているものがあれば、見えていないものもある。誰よりも、よく理解しているものがあれば、あまり理解できていないものもある。
いわゆる「ジョハリの窓」というらしい。
自分の良いところも、悪いところも。
誰かの良いところも、悪いところも。
知りすぎていたり、知らなすぎることがある。
無理に解ってくれとは言わない。
無理に解らないでくれとも言わない。
ただ……もしかしたら、まだ開けていない“窓”の先に、誰よりも、ずっと青い空が広がっているかもしれない。