「無色の世界」

ふと手を伸ばしてみる。
何となく何かを握ろうとしたがそれは、空を掴んだ。
掠れた笑い声だけがポツンとこだました。

あの日、あの瞬間、私の世界から色が消え失せた。
私から見るこの世界は、全てが無色。

貴方とみた星空はあんなにも美しかった。
貴方とみた猫はあんなにも可愛かった。
貴方とみた映画はあんなにも面白かった。

ここは、ここだけは、無色の世界。

色のない世界を今も回る、再び色が灯るまで。

「桜散る」

咲き誇る桜を眺める度に感じる。

流れる時間の早い事。

いつも思う。美しさと儚さは、二つで一つなのではと、

誰かに出会うって事は、誰かと別れる事もある。

この季節を繰り返す度、人は一歩成長するのです。

咲き誇る桜があるなら散りゆく桜もあるのです。

それもまた一興と言えるでしょう。

二つで一つです。

桜は散りますが、それは青葉の養分となるのです。

「夢見る心」

私の心はいつも貴方を追っている。

ただ、それが叶わぬとも。

心の中でくらい、「愛してる」を伝えたい。

私の心はいつも貴方を追っている。

ただ、願うだけだとしても。

夢の中でくらい、隣を歩ませてはくれぬだろうか。

「届かぬ思い」

遠く眺めるその横顔を、ただ思い出す事しか叶わない。

馳せた思いを心に秘めて。今日こそ私は、前を向く。

臆病者は歩みを進め、君の寝顔に祈りをこめて。

記憶の貴方に「愛してる」を贈ります。