「無色の世界」ふと手を伸ばしてみる。何となく何かを握ろうとしたがそれは、空を掴んだ。掠れた笑い声だけがポツンとこだました。あの日、あの瞬間、私の世界から色が消え失せた。私から見るこの世界は、全てが無色。貴方とみた星空はあんなにも美しかった。貴方とみた猫はあんなにも可愛かった。貴方とみた映画はあんなにも面白かった。ここは、ここだけは、無色の世界。色のない世界を今も回る、再び色が灯るまで。
4/18/2024, 3:34:45 PM