数え年、
生まれた時を一歳とする
還暦のお祝いは満年齢で
長寿のお祝いは数え年で
大切なひとが生きている
健やかに穏やかに幸せに
この世の中に溢れている
言葉だけでは足りなくて
私はあなたの声を聞く度
幸せを願っているのです
喜びを共有できることを
嬉しく思っているのです
『1年後』
わたしは左利きです
お箸を持つ手は右に
文字を書く手は右に
普段は寡黙な父親が
直すように注意して
大人になったのです
使途に応じて右か左
林檎を剥く時は右で
野菜を刻む時は左で
球を投げる時は左で
打席に立つ時は右で
子供の頃使っていた
真っ赤なグローブは
お下がりではなくて
私だけの宝物でした
懐かしい思い出です
『子供の頃は』
まわるまわる
地球がまわる
こちらは朝で
あちらは夜で
眠る所があり
食べ物があり
衣服に恵まれ
争いを知らず
穏やかな世界
蛇口から水色
清浄なる空気
有難い有難い
目覚めた朝に
『日常』
ふくろうのそめものや
むかしむかしのお話し
白いカラスのおめかし
何色が似合うでしょう
文句ばかりいけません
怒らせてはいけません
染料をざぶりざぶりと
カラスへかけたその後
黒いカラスの仕上がり
お話しの続きは絵本で
どんな色が良かったか
自分にしか分からない
カラスは怒ったけれど
黒い羽根をよく見ると
虹色に輝いて美しいよ
教えてくれた木洩れ陽
心にそっと秘めている
誰かに伝えたいお話し
『好きな色』
自分の最も神聖な部分
心の奥深くに旅をする
柔らかな心と力強い心
私ひとりでは見えない
はじまりはいつの時も
再会の香りがしている
呼吸が地球に着地する
照らしているのは光り
わたしを映す陽の光り
瞳の奥深くに記憶する
ありがとう夜が明ける
夏の終わり冬の始まり
『あなたがいたから』