NoName

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4/26/2024, 12:58:32 AM



「流れ星を見たらね、願いごとをするんだよ」
とっておきの秘密を打ち明けるかのように君がこっそりとささやくから、「ロマンチックだね」と知らなかった顔で笑ってみせる。
「ロマンチック、かなぁ」
欲しかった答えじゃなかったみたいに君は眉を寄せる。
「『お星さま』って言うでしょ? 神様なの。叶えてくれるの」
神様のお使いみたいに君はムキになるけれど、いつかとかそのうちとか。
【流れ星に願いを】呟いているより手っ取り早く確実に。気は短いんだ。
君とこうして星を眺めている時間も惜しいくらいに。あっという間に時間は過ぎていってしまうんだよ。
だからもっと威力のある、魔法の呪文みたいなヤツを唱えてみるよ。
そう、君が思ってるよりずっと強欲だからね。

4/25/2024, 8:28:01 AM


君の前には真っ直ぐに伸びる白い道
その上をためらいもなく進む君が
羨ましくて妬ましくて

君は【ルール】でこの世界のすべて
君は「ゲーム」につきあってくれない王様
それでもついていくと決めたんだ

4/23/2024, 1:32:55 PM


どんよりとした今日みたいな日には
思い出す

なんてひどいことをしたんだと
責めてくれる人はもういない
罵られたら「あぁやっぱり」と
安堵できただろう

間違ってたかなんて
自分が一番よく分かってる
誰に謝ったらいいのか
今度会った時の笑い話にもならない

後悔してるんだ

あの時は最良の選択をしたと
信じて疑わなかった
前を向いてくしかないとかなんとか
耳に心地いいことを囁かれ
一瞬忘れたようになるけれど

この罪はきっと死んでも背負い続ける

4/16/2024, 12:31:42 AM


「想いお届けします」
ピザのデリバリーのチラシと一緒にポスティングされていたハガキ。
「あなたの想い届けませんか」
「過去にも未来にもお届けします」
「人でもモノでもOK」
そんな言葉の下には電話番号が一つ記されているだけだ。裏返してみても詳しい説明などは一切ない。
ちなみにタイムカプセルとか、未来の自分に配達してくれる手紙の類いは大好きだ。だからこんなものを目にすると空想は止まらなくなる。
(過去かぁ……)
「後悔」と名前がついているその想いはもう決して届かない。【届かぬ想い】じゃない、「届けなかった想い」だ。
知っていたのに、見て見ぬふりをした。何もなかった、これでよかったとフタをしてしまい込んだ感情は、時々顔をのぞかせチリチリと胸を刺す。
もし過去に想いが届いたのなら、今この未来は変わるのか。見てみたい。ダメでもともと。
指は、ハガキの電話番号を押した。

4/14/2024, 12:52:27 PM


【神様へ】


「えー、神様。短い間だったけど、お世話になりました……」
 書き始めてすぐに手は止まってしまった。
「なんか違うよね」
手紙はくしゃくしゃと丸めて部屋の隅に放る。
手紙を書いたところで、神様のところに届くのか、そもそも誰が届けてくれるのか。
「行ってらっしゃい」
あの時神様は言ったから、きっと今どうしているか気にしてくれているはずだ。
(うん、そっか)
窓の外にはキレイな夕やけに染まった空。
明日も晴れるって神様からのお知らせ。だから空を見上げながら心の中で呟く。
(神様。しばらく帰れそうにないくらい元気だよ。しかもシアワセ)

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