どんよりとした今日みたいな日には
思い出す
なんてひどいことをしたんだと
責めてくれる人はもういない
罵られたら「あぁやっぱり」と
安堵できただろう
間違ってたかなんて
自分が一番よく分かってる
誰に謝ったらいいのか
今度会った時の笑い話にもならない
後悔してるんだ
あの時は最良の選択をしたと
信じて疑わなかった
前を向いてくしかないとかなんとか
耳に心地いいことを囁かれ
一瞬忘れたようになるけれど
この罪はきっと死んでも背負い続ける
「想いお届けします」
ピザのデリバリーのチラシと一緒にポスティングされていたハガキ。
「あなたの想い届けませんか」
「過去にも未来にもお届けします」
「人でもモノでもOK」
そんな言葉の下には電話番号が一つ記されているだけだ。裏返してみても詳しい説明などは一切ない。
ちなみにタイムカプセルとか、未来の自分に配達してくれる手紙の類いは大好きだ。だからこんなものを目にすると空想は止まらなくなる。
(過去かぁ……)
「後悔」と名前がついているその想いはもう決して届かない。【届かぬ想い】じゃない、「届けなかった想い」だ。
知っていたのに、見て見ぬふりをした。何もなかった、これでよかったとフタをしてしまい込んだ感情は、時々顔をのぞかせチリチリと胸を刺す。
もし過去に想いが届いたのなら、今この未来は変わるのか。見てみたい。ダメでもともと。
指は、ハガキの電話番号を押した。
【神様へ】
「えー、神様。短い間だったけど、お世話になりました……」
書き始めてすぐに手は止まってしまった。
「なんか違うよね」
手紙はくしゃくしゃと丸めて部屋の隅に放る。
手紙を書いたところで、神様のところに届くのか、そもそも誰が届けてくれるのか。
「行ってらっしゃい」
あの時神様は言ったから、きっと今どうしているか気にしてくれているはずだ。
(うん、そっか)
窓の外にはキレイな夕やけに染まった空。
明日も晴れるって神様からのお知らせ。だから空を見上げながら心の中で呟く。
(神様。しばらく帰れそうにないくらい元気だよ。しかもシアワセ)