【この道の先に】
しばらく歩いてきたけれど
何も見えないや
この道の先に
どんなものがあるのか
この道の先に
進んでいいのか
分からないまま
分からないまま
それでも見えないものに
背中を押されながら
日々前に進んでいくんだ
【日差し】
暖かく柔らかい日差しが
私を照らしている
日焼けなんて気にせず
その暖かさを感じていられたらいいのに
ルッキズムが溢れる現代では
白い肌も憧れの対象だ
だから日焼けなんてしていられない
何も手入れをしていないと言っているようなものだからだ
けれど子供のころは
日差しなんて気にせず
朝から夕方まで外で遊んでいた
もちろん日焼けなんて気にしたこともなかったし
日焼けしている子を見ても別になんとも思わなかった
自分も周りも
素直に日に当たらなくなって
日焼け止めを塗りたくったり
暑いのに上着を着たりするようになったのは
いったいいつからだろう
日差しは今も昔も変わらず暖かいのに
【窓越しに見えるのは】
四角い枠の中
カラフルな花畑が広がっている
窓越しに見えるのは
僕が行けない世界
いつになったら
この白い部屋から出られるの
綺麗な花たちは
僕よりずっと自由な世界にいる
【赤い糸】
赤い糸なんてものはない
あったとしても
すぐに切れてしまう
私には
誰かと繋がるようなものは
存在しない気がする
誰かと一緒に居ても
心はいつも独りだ
相手にどんなに愛を囁かれても
どんなに親切にされても
自分が受け取りたい相手ではない
好きな人はいつも
私ではない人を見つめていて
私の気持ちは届かない
ようやく通じ合ってもたった一瞬
すぐに壊れて消えてしまう
だから赤い糸なんてものは
もし次に現れるようなことがあれば
今度は自分から断ち切ってやる
信じても喜んでも
どうせ裏切られるのだから
【入道雲】
あの大きな雲が
怪物みたいに襲ってくるのを想像していた
幼稚園児は
小学生になると
あれが大きなわたあめになったら
たくさん食べられるのにと思い
中学生になったころ
あの雲がなければ
雨に降られることはなかったと考えて
高校生になったら
初めて付き合った人と眺めて笑い
大人になった今
入道雲を見ることすら忘れているんだ